サイゾーpremium  > 特集  > 裏社会学  > ヤクザの【著作権問題】

――東京オリンピックのロゴをめぐる騒動では、デザインにおける著作権・知的財産権の問題についても、熱い議論が沸き起こった。そんな中、山口組の分裂騒動では、組織を離脱した神戸山口組が山口組伝統の代紋を使用していることが発覚。そこで今回は法の専門家である弁護士に、山口組の代紋の著作権について話を聞いた。

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文字を用いたロゴの著作性をめぐる裁判は「Asahi」と「Asax」の判例が有名である。

 アウトローの世界が好きな人なら誰もが知っているだろうが、菱形の中に“山”の文字が描かれた“山菱”のマークといえば、山口組の代紋である。ヤクザの代紋の中でも、鋭利で近代的なデザインが目を引くこの代紋について、一部のマスコミが9月7日に報じたニュースが話題になっている。組織を離脱した神戸山口組が、その発足を宣言した文書で、山口組と同じ代紋を使用していたのである。

 東京五輪のロゴ問題で日本中が盗作疑惑をめぐって大騒動になったことは記憶に新しいが、ここでは山口組の代紋の著作権について考えてみたい。

 そもそも、反社会的勢力を象徴するロゴマークに、著作権は認められるのか?法律の観点から、著作権を専門とする弁護士A氏に見解を聞いた――。

「まず、反社会的勢力が著作権を持てるかどうかについては、平成5年に判決が出た山口組関連の裁判が参考になりそうです。その裁判を起こしたのは山口組の若頭。山口組の盃を交わす儀式の映像が、報道で出回ったことに対し、『この映像の著作権は私にあるので、勝手な使用をしたことに対して金銭を支払え』と訴えたんです」

 裁判所は、最終的には「報道目的での映像の使用は、著作権の制限規定に当てはまらない」と、山口組若頭の訴えを退けた。しかし、その映像に著作権が発生することは認めたのだという。

「この裁判例の判断方法からしても、反社会的勢力でも著作権を持つことは可能と言えるでしょう。なお山口組の代紋についても、報道に必要な範囲であればその使用は認められますが、報道以外の目的で利用すれば著作権侵害に当たる可能性があります」

 ならば、神戸山口組が発足宣言で山菱の代紋を使用したのは著作権侵害……と結論を出せればいいのだが、話はそう簡単ではない。というのも、「一般的に文字を用いたロゴマークには非常に著作物性が認められづらい」のだそうだ。

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