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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第78回

アメリカに失望する“キャップ”が見た超大国の歪な理論

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『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

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マーベルコミック原作のアクション映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』の続編。前作から2年後の世界を描く。国際平和維持組織SHIELDの一員となったキャプテン・アメリカは、日々任務を遂行するも、なぜか組織から命を狙われることに。いったい真の敵は誰なのか?

監督:アンソニー・ルッソ/出演:クリス・エバンス、スカーレット・ヨハンソンほか。現在全国ロードショー中。


 ヴェトナム戦争末期の1971年1月31日、デトロイトに100人のヴェトナム帰還兵が集まった。彼らはVVAW(戦争に反対するヴェトナム帰還兵の会)。68年3月、ヴェトナムの農村ソンミ村で、アメリカ陸軍は女子供、赤ん坊も多く含む非武装の農民約500人を殺した。内外で反戦運動が高まり、政府は虐殺を否定したが、帰還兵たちは民間人殺戮の実態を赤裸々に告白した。兵士の中には現在の国務長官ジョン・ケリーもおり、その集会は「ウィンター・ソルジャー調査会」と名付けられた。もともとこれはアメリカ独立運動の思想的指導者トマス・ペインが、国難に耐えて戦う兵士を呼んだ言葉だが、それを自国の戦争犯罪を告発する兵士の集会に名付けたのは、これこそが真の愛国心であるという逆説だった。

 だから『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』はタイトルからして実に政治的な映画だ。原作のコミックでも、アメリカが抱える“現実”を反映している。

 キャプテン・アメリカ(以下、キャップ)はもともと第二次世界大戦時の戦意高揚マンガの主人公で、徴兵検査に落第した少年がその愛国心を買われ、超人血清によって改造されたという設定。大戦後、北極で氷漬けにされた彼が現代に蘇った時、国同士の総力戦の時代は終わり、敵は世界各地に潜むテロリストになっていた。キャップは諜報機関SHIELDのメンバーとして働いているが、SHIELDが「インサイト計画」を提唱する。電話やネットの傍聴とスパイ衛星、それに飛行攻撃空母を連携させ、テロリストを見つけ、殺害するというものだ。

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