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第1特集
経済を操る財閥の正体【1】

日本の旧財閥の形成史から見る「財閥陰謀論」が生まれる理由

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――ロスチャイルド、ロックフェラーなどの巨大財閥が陰で世界をコントロールしている……という「財閥陰謀論」は古くから存在している。それは日本の旧財閥も同様だ。そこで取り沙汰された陰謀には、荒唐無稽なものが多いのも事実だが、なぜ財閥は陰謀論の主体とされてしまうのか。日本の財閥の成立史から、その原因をひもといていく。

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『日本の財閥』(洋泉社)

 圧倒的な資金力を背景に、一国の政治や経済の動向にも影響力を持っているとされる財閥。海外のロックフェラーやロスチャイルドは言うに及ばず、日本では第二次世界大戦後にGHQの指令により解体されたが、三菱、三井、住友、安田などの旧財閥は、現在も続く企業集団として知られている。まず本題に入る前に「そもそも財閥とはなんなのか」という部分から確認したいが、実は財閥という言葉には、学術的に厳密な定義は存在しないのだという。『日本の15大財閥』(平凡社新書)などの著書がある企業集団の研究者・菊地浩之氏に、その状況を解説してもらった。

「財閥の範囲・定義は学者によってまちまちで、トヨタ自動車の豊田一族まで財閥に含む研究者もいれば、『三菱も財閥とは言えない』という研究者もいるほど。ただ三井、三菱、住友や、その三大財閥を含む十大財閥(安田、浅野、古河、大倉、野村、日産、中島)などは、一般的に財閥と言って差し支えないのではないでしょうか。日本経営史研究の第一人者である森川英正氏は、『富豪の家族・同族の封鎖的な所有・支配下に成り立つ多角的企業体』と定義しています」(菊地氏)

 経済評論家の久保巌氏も「財力をベースに社会的に極めて存在感と影響力のある人、家族、ないしは企業集団」と財閥を定義し、さらに「金融分野への進出」も財閥の特徴のひとつに挙げる。

「三井と住友の銀行は合併してしまいましたが、三菱、安田、三井、住友などの財閥は、それぞれ独自の銀行を持っていました。世界の財閥を見ても、金融業が主体のロスチャイルドはもちろんのこと、石油で財を成したロックフェラーも早い時期に金融に進出しています」(久保氏)

 では、日本の財閥は、どのように誕生・発展したのだろうか。ひとつのパターンは江戸以来の富商から発展したもので、これには三井、住友財閥が代表例として挙げられる。そして、それ以外の大半の財閥は、明治維新後に一代で発展した財閥である。その代表例が、土佐藩の下層の武家出身である、岩崎弥太郎によって創設された三菱財閥だ。

 彼が巨万の富を築くことができたのは、明治期の動乱で政府と強い関係を結んだことが大きかった。彼の率いる三菱商会は、1877年の西南戦争で政府側の軍隊・軍需品の輸送を一手に引き受け、莫大な利益を得たことで巨大な財閥へと成長した。

 この明治期、三菱のように政府と強い関係を結んだ企業は「政商」とも呼ばれるが、『物語 財閥の歴史』(祥伝社新書)著者のノンフィクション作家・中野明氏は、「あくまで政府と取引をする御用商人という意味で、必ずしも賄賂が飛び交ったりしているわけではありません」と話す。

「殖産興業政策を推進し、岩崎を支援した大久保利通は清廉潔白な人物でしたし、岩崎との関係は癒着というようなものではなかったでしょう。ただ、岩崎自身はかなりやり手の人物で、あからさまな接待をしたり、女性をあてがったりするのは彼の得意とするところでした」(中野氏)

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