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丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【9】

あの改名男、次なる挑戦 怪獣語尾はファンクの印!

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人類のナゾは音楽で見えてくる! ブラックミュージック専門サイト「bmr」編集長・丸屋九兵衛が”地・血・痴”でこの世を解きほぐす。

『7 Days of Funk』7 Days of Funk

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(発売元:Stones Throw)
趣味が高じて形になったものなので、作業に〆切はなく、当初はリリース元のレーベルすら決まっていなかったとか。件のブーツィ・コリンズが参加、いつものブーツィ節(ヴォーカル)を披露している。また、よりマイナーなファンク・バンド「スレイヴ」のスティーヴ・アーリントンもフィーチャー。これはデイム・ファンクの趣味だろう。


 怪獣名の欧文表記について考えてみたい。

 ガメラはそのままGamera。ラドンは、ちょっとヒネってRodan。しかしゴジラは……Godzillaなのだ。知ってる人も多かろうが。

「ゴリラ(とクジラ)」という命名起源を思い出させる語尾「illa」。神罰のごとき天災(実は人災だが)を象徴する「God」、そして終末をイメージさせる文字「z」の挿入。語感の達人、ルイス・キャロルが生きていたら感嘆したであろう、絶妙な造語センスである。作品自体の知名度と、その語感に心を打たれてか、芸風(?)に取り入れてしまったアーティストまでいる。そう、ブーツィ・コリンズだ。

 ブーツィといえば、ジェイムズ・ブラウン全盛期を支えた凄腕ベーシストにして、70年代後半の米音楽界で異臭を放った「Pファンク軍団」の大物。その彼にとって最大のヒット曲は、78年にブーツィーズ・ラバー・バンド名義で発表したBootzillaである。「ブーツィ+ゴジラ」だからブーツィラ。街を破壊するファンク怪獣……ではなく「ねじまき式の怪獣人形」という設定がキュートだが、なんにせよ、このBootzillaの大ヒットによって、アメリカ黒人たちの脳裏には、こう刻まれた。「zilla=ファンク」と。

 この刻印が35年の時を経て結実したのが……「スヌープジラ」なのだ。

 本連載第1回のテーマは、「人気ラッパーのスヌープ・ドッグがレゲエに転向し、スヌープ・ライオンと改名!」という件だった。それから1年も経っとらんのに、またも改名したのだ、あの野郎は! 「スヌープ・ライオン」にレゲエという命題があったのと同様に、今回の「スヌープジラ」改名が目指すところは――文脈からおわかりのとおり――ファンクである。

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