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第2特集
ビッグデータ・ビジネスの真実【4】

ビッグデータビジネス利権をめぐる相も変わらぬ"官僚たちの夏"

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――ビッグデータという言葉に踊るのは、何も民間企業ばかりではない。“官”も、ビッグデータを利権拡大のチャンスと見て、多くの取り組みを始めているのだ。

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『図解 だれでも簡単に分かる! 官僚と霞が関のしくみ』(綜合図書)

 安倍政権が13年6月に公表した「世界最先端IT国家創造宣言」という文書がある。これは、成長戦略の中でITをどのように位置付けるのかを明らかにしたもので、安倍政権がITをどのように活用して経済を活性化させていこうとしているのかが示されている。この中でビッグデータは、イノベーションを実現する重要な要素とされており、企業がビッグデータを利用しやすい環境作りを推進すると明確に記されている。

 内閣の政策として定められたことで、「オープンデータの推進」と「パーソナルデータの利用環境の整備」に関しては、すでに予算が積まれ、各省庁でさまざまな事業がスタートしている。例えば総務省では「ビッグデータの利活用推進」のために約54億円、経済産業省でも「ビッグデータによる新産業・イノベーション創出に向けた基盤整備」のために約50億円の予算が計上されている。

 だが、その総務省と経産省が、ビッグデータをめぐって火花を散らしているというのだ。その衝突の理由が「オープンデータ」だ。民間企業がビッグデータを活用するためには、より多くのデータが必要だ。そこで、官公庁や地方自治体が持っているデータを誰でも自由に使える「オープンデータ」として公開することで、民間でのビッグデータ活用を振興しようというのが安倍政権の基本方針である。

「オープンデータは地方自治体がかかわるため、総務省の担当です。しかし、実際に活用するのは民間企業なので、そちらは経産省の縄張り。水と油の両者が、簡単に手を結べるはずがありません」

 そう話すのは、全国紙の経済記者C氏。彼によれば、両者のいがみ合いはすでに表面化しているという。現在、総務省と経済産業省のそれぞれで、オープンデータに関するプロジェクトがスタート、特にオープンデータの利活用アイデアを民間に募るコンテストに至っては、総務省と経済産業省がそれぞれ独自に実施しており、結果的に国主催のオープンデータイベントがいくつも乱立しているというありさまなのだ。

「両者から同じような協力を求められた企業や大学は、苦笑いしてましたね。応募するにはアプリの開発が必要なものもあり、それなりに手間がかかりますから、それほど多くは応募できない。民間のニーズを探るといいながら、そもそも民間のことを考えていないのが丸わかりです」(C記者)

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