サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 【小学館】は引き抜きばかり! 各出版社の新ドル箱マンガ

――本企画で関係各所に聞き取りを調査を敢行。2014年以降、各出版社を支えるような、大ヒットとなるのはどの作品だろうか? ここでは、本誌がマンガ編集者への聞き取りや、各種のデータをもとに各社の注目作品をピックアップ。一言解説と共に、紹介する。果たして、今後のマンガ界の救世主となるのは──?

集英社

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(絵/都築 潤)

売り上げ約98億円
1926年に小学館の娯楽部門として分離、設立。国民的マンガ誌「週刊少年ジャンプ」を擁するコミック市場の最大手。

着々と新陳代謝に成功している集英社。『黒子のバスケ』は度重なる脅迫事件によりTSUTAYAから関連商品が撤去されるなどの憂き目に遭っているが、腐女子を中心に熱狂的なファンから支持を得て累計2300万部突破。さらに、ウェブマンガからコミック単行本化した『ワンパンマン』の売上げも好調で、順調に世代交代に成功しつつある。まだまだ“横綱相撲”は続きそうだ。

――[2014年注目作品5選]――

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■脅迫事件もなんのその
『黒子のバスケ』
累計2300万部突破


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■ポストONE PIECEの本命?
『暗殺教室』
最新刊の初版100万部


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■往年の名作で荒稼ぎ
『ときめきトゥナイト 真壁 俊の事情』
15年ぶり新作で売り切れ続出


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■ウェブマンガから大ヒット
『ワンパンマン』
累計160万部


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■映画化でがっぽり
『清く柔く』
人気シリーズの映画化は吉と出るか?


講談社

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(絵/都築 潤)

売り上げ約67億円
1909年創業。「週刊少年マガジン」、「なかよし」、「モーニング」など数多くのコミック誌を発行している。

しつこいようだが、今年はなんといっても『進撃の巨人』。「いよいよ、『ONE PIECE』に対抗できる国民的マンガが現れた」(業界関係者)という気の早い声も聞かれた。さらに、『亜人』『七つの大罪』など次世代の看板マンガを育て、集英社を追撃できるか注目が集まっている。また、東村アキコの新作『メロポンだし!』を「モーニング」とLINEマンガで同時連載し、オールカラーで単行本化するなど新たな取り組みのほか、ネットにも力をいれている。

――[2014年注目作品5選]――

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■アニメ化でモンスター級に
『進撃の巨人』
累計2500万部突破


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■2014年の大ブレーク候補?
『亜人』
累計100万部突破


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■マガジン激推しでアニメ化最有力視
『七つの大罪』
4大少年誌を制覇した著者の渾身作


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■ヤンマガお家芸が新機軸!
『ヤンキー塾へ行く』
多くのマンガ通が絶賛


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■LINEマンガで史上初の同時連載
『メロポンだし!』
オールカラーで単行本化


小学館

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(絵/都築 潤)

売り上げ約50億円
1922年創業。「週刊少年サンデー」などを発行。集英社、祥伝社、白泉社などと「一ツ橋グループ」のドン。

『銀の匙』はアニメに続き、実写映画化も決定。また、『マギ』もアニメ第2期がスタートした。しかし、「真新しいヒット作が見られない」(業界関係者)との声もあり、「いまだにあだち充など大御所頼り」(某編集者)と、先行きを心配する声も。「『MIX』人気に浮かれているあたりが、苦境を象徴している」(業界関係者)という意見も。

――[2014年注目作品5選]――

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■アニメ、実写映画化と破竹の勢い
『銀の匙 Silver Spoon』累計1200万具突破


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■全国の書店員を味方に
『重版出来!』
2巻も無事重版出来!


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■『式の前日』作者の新作
『さよならソルシエ』
編集者から好評価


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■タッチの続編的マンガ
『MIX』
大御所・リメイクマンガ


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■アニメ放映で人気は継続『マギ』
累計1300万部突破


KADOKAWA

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(絵/都築 潤)

売り上げ約31億円
1945年創業。2013年10月にアスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川マガジンズ、メディアファクトリーなど9社が合併。

9社が合併したKADOKAWAは、有力なコミックレーベルを多数抱えるグループに変貌した。しかし、18年間連載が続いていた『新世紀エヴァンゲリオン』が連載を終了。「コミックナタリー大賞 2013」で1位を獲得した『坂本ですが?』や2014年のアニメ化が決定した『となりの関くん』などで巻き返しを図りたいところだ。

――[2014年注目作品5選]――

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■テルマエの担当営業がごり押し?
『坂本ですが?』
コミックナタリー大賞で1位


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■人気ゲームのメディアミックスに着手
『艦隊これくしょん -艦これ- アンソロジーコミック 横須賀鎮守府編』
角川ゲームス開発でメディアミックス


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■来年アニメ化で儲けます
『となりの関くん』
累計160万部突破


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■18年間の利権に幕
『新世紀エヴァンゲリオン』
「ヤングエース」7月号で完結。どうなる?


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■荒木飛呂彦も帯で推薦
『僕だけがいない街』
編集者から高い評価


白泉社

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(絵/都築 潤)

売り上げ役13億円
1973年創業。「一ツ橋グループ」の一角。コミック誌「花とゆめ」など少女マンガに強みがあり。

『ハチミツとクローバー』(集英社)で知られる羽海野チカの『3月のライオン』が看板マンガ。さらに、少女系の「花とゆめ」ではプロ棋士を目指す少女の囲碁マンガ『星空のカラス』(モリエサトシ)も話題に。『大奥』『ガラスの仮面』『ベルセルク』『ふたりエッチ』など定番だけではなく、新しいヒット作をどれだけ生み出せるか?

――[2014年注目作品5選]――

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■すでにハチクロ超え?
『3月のライオン』
各賞総ナメで白泉のドル箱に


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■色あせぬ長編作
『ガラスの仮面』
まさかのギャグアニメ化


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■マニアックラブ! という新ジャンル
『ぽちゃまに』
ぽっちゃり系ファッション誌とコラボ


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■“将棋”の次は“囲碁”で
『星空のカラス』
編集者から高評価


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■映画化の効果で、いまだ安定
『大奥』
累計300万部突破


秋田書店

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(絵/都築 潤)

売り上げ約10億円
1948年創業。「週刊少年チャンピオン」などを発行。今年はマンガ誌の景品を水増ししていたとして話題になった。

月刊マンガ誌で読者プレゼントの水増しが発覚し大問題になった秋田書店。肝心の作品も累計500万部を突破し、アニメ化もされた『弱虫ペダル』などが好調だが、全体的にはヒットが乏しい印象か。一方、「J-CASTニュース」の報道によると、「第1話はここで試し読みできる模様」とマンガ『実は私は』を紹介した小説家・桜坂 洋さんのツイートを、なぜか俳優のトム・クルーズがRTし、Amazonで売り切れるという“珍事”も発生した。明るい話題としては、なんともしょーもない話だけど。

――[2014年注目作品5選]――

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■アニメ化された看板マンガ
『弱虫ペダル』
累計500万部突破


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■2012年「このマン」1位からじわじわ伸び
『ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~』
テレビドラマ化で話題


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■手塚利権を最大限に活用!
『ヤング ブラック・ジャック』
大御所・リメイクマンガ


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■心がざわつく思春期マンガ
『空が灰色だから』
編集者から好評価


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■なぜかトム・クルーズがRT
『実は私は』
Amazonで品切れも


徳間書店

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(絵/都築 潤)

売り上げ約2億円
1954年創業。博報堂との共同製作によるアニメーション映画『風の谷のナウシカ』を公開したという輝かしい過去も。

「月刊コミックゼノン」では、『喰う寝るふたり住むふたり』や『ワカコ酒』などの秀作を輩出。『ワカコ酒』は“食系”の次期ヒット候補として注目される。また、「WEBコミックぜにょん」からも『俺とSEXすれば売れる』などの話題作も。さらに、「COMICリュウ」の『モンスター娘のいる日常』は英語に翻訳され、「ニューヨークタイムズ」のマンガ部門ベストセラーリストで1位を獲得。ひそかに“徳間旋風”が巻き起こっている。

――[2014年注目作品5選]――

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■「良マンガNO.1」の声も
『喰う寝るふたり住むふたり』
累計30万部突破


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■抜群のゲスさが話題に
『俺とSEXすれば売れる』
Webマンガから話題に


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■ネット掲示板出身の作者によるヒット作
『モンスター娘のいる日常』
謎の「ニューヨークタイムズ」で1位


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■名作・北斗の拳で悪のり
『北斗の拳 イチゴ味』
大御所・リメイクマンガ


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■ひとり飲み女子が共感
『ワカコ酒』
“食系”最右翼?


※売り上げの数字は、某大手書店チェーンの2012年出版社売り上げランキングより

 上記作品紹介は、2012年の売り上げランキング上位7社から、それぞれ期待のドル箱作品を5本ピックアップしつつ、各社の現状を分析している。(売り上げ順だと、KADOKAWAの次にスクウェア・エニックスが来るが、目立った作品が少ないので除外)
 
そんな中で、今年も盤石の強さを見せたのが、集英社の『ONE PIECE』だ。12年末から公開された映画『ONE PIECE FILM Z』は、興行収入約68億円を記録し、13年上半期の邦画トップ成績となった。マンガ単行本も11月に発売された最新72巻で、累計3億部を突破するなど、相変わらずの人気を誇っている。

 さらに、「週刊少年ジャンプ」では、順調に世代交代が進んでいる。10月に発売された『黒子のバスケ』と『暗殺教室』の最新刊はそろって初版100万部を記録。14年にアニメ化される『ニセコイ』と『ハイキュー!!』、そして単行本1巻が売り切れるほどの快進撃を見せた『食戟のソーマ』など粒ぞろいだ。

「『食戟のソーマ』の作画を担当している佐伯俊氏は、エロ系マンガ出身だったり、集英社は青年・エロ・BLなど多方面から人材を採用し、新陳代謝に成功しています。既刊60巻を超えて“耐久年数”が過ぎた『NARUTO―ナルト―』『BLEACH』となどの売れ線マンガが連載を終了しても、市場で勝ち、稼ぎ続けられるでしょうね」(業界関係者A氏)

 また、『進撃の巨人』を発行する講談社も、着々と次のヒットを狙う。その中でも業界関係者から「次の新・ドル箱マンガ」との呼び声が高かったのが、90年代後半に「週刊少年ジャンプ」で連載されたゴルフマンガ『ライジングインパクト』など、4大少年誌でマンガが掲載された鈴木央氏の『七つの大罪』と、不死身の体を持ち、人間から差別される主人公を描いた『亜人』だ。

「『七つの大罪』は王道ファンタジーで万人から受け入れられやすく、アニメ化されれば間違いなくビッグタイトルになるでしょう。また、昨今の賞レースでは、『テラフォーマーズ』(集英社)など、バイオレンスやサスペンスを絡めた作品がウケるので、その流れでいくと「good! アフタヌーン」で連載中の『亜人』は今年の本命筋になると思う」(編集A氏)

『亜人』については、アフタヌーン編集部の公式ツイッターが「『亜人』単行本2巻発売で累計40万部を突破する快進撃! 『巨人』の次は『亜人』だ!」とプッシュするなど、「2014年はこのマンガで儲けよう!」という期待が見え隠れしている。

 一方、評価が分かれるのが小学館だ。「営業力があり、安定的にヒット作を生んでいる」との声がある一方、「新人編集者や書店員などの奮闘を描いた『重版出来!』は、書店員の共感を得ることで棚を確保し、売り上げを伸ばす見事な戦略でした。ただ、荒川弘や大高忍など他社でヒットした作家を引き抜いてきているだけという声もあります」(編集B氏)との声も。

「『銀の匙』はアニメ化、映画化と、まさに小学館のドル箱となっていますが、もともと長編になるような題材ではない。作者の荒川弘も、他社の「別冊少年マガジン」(講談社)で、有名ファンタジー小説を原作とした『アルスラーン戦記』の連載を始めています。新たなヒットメーカーを見つけて育てていくことが急務でしょう」(同)

 そのほか、注目作としては、上半期までのマンガが対象となる「マンガナタリー大賞 2013」で1位を獲得した、エンターブレイン(KADOKAWA)の『坂本ですが?』。「エンターブレインも売り出しに力を入れていて、『テルマエ・ロマエ』のヒットを仕掛けた敏腕営業担当者がプロモーションを仕掛けている」(マンガ営業担当)という。

 そして、「徳間書店が発売元の「月刊マンガゼノン」は、『喰う寝るふたり住むふたり』や『ワカコ酒』など、マンガ読みに好かれる秀作を数多く発表しています。あまり目立ちませんが、13年のダークホース的な出版社といえるかもしれません」(同)との意見も注目だ。「WEBマンガぜにょん」で連載され、作者の実体験をもとにした『俺とSEXすれば売れる』や、往年の名作をギャグマンガにした『北斗の拳 イチゴ味』など大胆な企画も、読者から大きな関心を集めている。

 各社が一喜一憂した13年のマンガ市場。マンガ誌の売り上げが年々落ち込んでいく中、今年の『進撃の巨人』並みのヒット作が出て読者をつなぎ留めることができるのか? すでに各社とも、新たな「ドル箱マンガ」獲得に向けて活発にうごめいているのである。

(構成/宮崎智之)

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