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第1特集
タブーだらけの「封印ドラマ」【1】

タブーに触れた悲しい結末…放送禁止、お蔵入り!封印ドラマの歴史を追う

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──差別表現や反社会的な内容、あるいは抗議など、さまざまな事情によってタブーとなってしまい、二度と見ることのできない封印ドラマ。「見られない! でも見たい!!」という欲望を駆り立てる封印ドラマのウラ側に迫った。

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ドラマをぶち壊す長渕剛。シャブでも逮捕されてます!(絵/小笠原徹)

 ご存じのように、テレビドラマの中には、再放送もソフト化も禁じられ、二度と視聴できない、いわゆる「封印ドラマ」が数多く存在する。封印、つまり、「タブー」となってしまった理由はどこにあるのだろうか? ドラマ制作関係者は次のように語る。

「ドラマが封印される理由としては一番大きいのは、社会のモラル、常識といった規範を逸脱している場合です。しかし当然、そういったモラルも、時代とともに変化していきます。ゆえに、その時々によって、ドラマが封印されていく理由は異なっていくケースが多いんです」

 そこで、今回は、時代に沿いながら、封印ドラマの数々を検証していきたい。

 まず60~70年代から見ていこう。ドラマにおける表現規制が非常にユルかった、という時代背景もあり、現在では封印されているドラマが数多く制作された。“封印作品の代名詞”ともいえる特撮ドラマ『ウルトラセブン』【1】の第12話「遊星より愛をこめて」が作られたのもこの時期である。同作品の第12話が封印された理由を要約すると、スペリウム爆弾により自分の住んでいた惑星が核汚染され、自身も被爆したという設定の「スペル星人」という怪獣が出てくる。「スペル星人」は白い肌にケロイド状の火傷を負って、目と口ばかりが浮き出ているような怪獣。こういった表現が原子爆弾による被爆者に非常に似ているため、被爆者家族などが構成する団体から圧力を受け、封印されてしまったのである。

 また、『放送禁止映像大全』(文春文庫)の著者である天野ミチヒロ氏によれば、この時代は身体に障害を持つ人物を主人公にした時代劇が多数制作されたという。

「71年に放送された『めくらのお市』【2】も封印作品として有名です。盲目の女性が活躍する“女性版・座頭市”といった内容です。73年から74年まで放映された『唖侍 鬼一法眼』【3】は、出演者が若山富三郎、勝新太郎と大変豪華な作品であり、内容も素晴らしいんですが……」

 そう、「めくら(=盲目者)」や「唖(=口がきけない人)」という言葉は、今となっては放送禁止用語である。そのため、封印ドラマとなっているのだ。

キムタクドラマが殺人事件を誘発

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キムタク主演の幻の廃盤ビデオ『GIFT』。ヤフオクなどで高値で取引されている。

「80年代における、封印ドラマの代表的な作品といえば『ピーマン白書』【4】でしょう。中学生が学校に反発する学園モノでしたが、視聴率が平均2%台、全26話のはずが、わずか9話で打ち切り、しかも6話から8話は深夜枠で放送されるという悲惨な作品でした。この作品がいまだソフト化されていないのは、その不人気ぶりが要因とされていたんですが、実は真相は異なっているという説があるんです」(天野氏)

 その理由を探ってみると、『映画秘宝ムックVol.5 夕焼けTV番長』(洋泉社)に掲載された會川昇氏のルポにヒントがあった。『ピーマン白書』について書かれている箇所を引用すると、「このあからさまな打ち切りは、第5話時点で視聴率が2・8%をとったからだと報道された。『8時だよヨ! 全員集合』(TBS)の裏で対抗するには、確かに弱い企画であったかもしれない。だがこれは単に低視聴率がもたらした結果というよりも、それを理由に、本来は超保守派で知られるフジテレビが、都合の悪い思想を慌てて追い払ったように見えなくもない」とある。あくまで推測ではあるが、このような理由での打ち切りが尾を引いて、ソフト化に影を落としているのかもしれない。

「『ピーマン白書』は封印ドラマ愛好者にとって、現在、注目の的であり、一刻も早いソフト化が望まれています」(天野氏)

 つづいて90年代を見てみよう。この時代の封印ドラマで真っ先に挙がるのが、97年に放送された『GIFT』【5】だろう。放映当時、木村拓哉主演ということで話題となったが、現在は再放送、ソフト化(一度VHS化はされたがすぐに廃盤となった)はタブーとなっている。

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