サイゾーpremium  > 特集2  > イベント飽和で旨味のない【声優音楽ビジネス】
第2特集
声優業界の功罪【4】

もはや音楽系イベントに旨味なし!? 声優音楽ビジネスの実情

+お気に入りに追加

──アニメだけでなく、音楽分野においても注目を集めている声優たち。音楽不況のさなかで躍進を遂げている彼・彼女たちだが、業界関係者はこのブームを冷ややかに見ていた……。

1307_az_mizuki.jpg
T.M.Revolution×水樹奈々『Preserved Roses』

 現在の声優ブームを最も象徴しているのが、音楽分野での躍進だ。概論でも触れた通り、 音楽不況が叫ばれる現在、水樹奈々をはじめとした一部の声優たちがオリコンチャートをにぎわせている。声優たちの音楽を手がけているレーベル各社は、さぞオイシイ思いをしているように思えるのだが……。声優と音楽ビジネスについて、アニメ系音楽レーベル関係者の話を元に、その実情を見ていこう。

 まず、声優が音楽を担当する主な舞台としては、もちろんアニメが挙げられる。アニメの主題歌の制作、発売には、音楽化権が存在し、この音楽化権を所有している音楽レーベルが、主題歌を歌うアーティストの選定から宣伝や発売までを手がけている。

「音楽化権については、作品のプロデューサー判断で、製作委員会に入っていない他社の音楽レーベルに買ってもらうこともあります。これは作品に対する出資率を減らし、作品がコケた時のリスクヘッジです」(アニメ系音楽レーベル関係者)

 アニメとのタイアップは、アニメ自体が音楽CDの宣伝となるため、「レーベルにとって重要な意味を持っている」と、関係者は語る。特にアニメに出演する声優を歌い手に起用すれば、ファンへの訴求力は高く、一定の売上も見込める。当然、レーベルとしては人気の声優と専属契約を交わしたいところだが……。

「声優は普通のアーティストと違って、レーベルと専属契約をすることはほとんどありません。なぜなら、声優はアニメのキャラクターソングを歌う機会が多いからです。例を挙げれば、『けいおん!』に出ていた豊崎愛生と寿美菜子は、ソニー傘下のミュージックレイン所属ですが、同作の劇中歌を収録した『放課後ティータイム』というアルバムを、ポニーキャニオンから出しています」(同)

 アニメの関連楽曲が音楽化権に左右される以上、音楽レーベル一社がドル箱声優を囲い込むのは難しい。そうなると、現在自社レーベルで売れている声優が、ぽっと他社へ移籍することも十二分に考えられる。

「そのため、レーベル側は宣伝費、販促費などをしっかりと使って、売る作業を行っていきます。とはいえ、全体のパイが小さいこの業界において、宣伝費、販促費は非常に高いコストとなります。この状況が続けば、売るための費用がかさんで、レーベル側のメリットは少なくなり、声優音楽ビジネス自体が厳しくなってくるのでは」と、関係者は危惧する。

 また、こうしたアニメタイアップとは別に、声優系アーティストが活躍する場としてはコンサートが挙げられる。コンサートの興行収益は、一般のアーティスト同様、グッズ販売によるところが大きい。

 関係者によると、「キングレコードの声優御三家のうち、水樹奈々と田村ゆかりのコンサートには、アップフロントエージェンシーのコンサートを手がけているイベント制作会社オデッセーがついています。グッズ制作や売り出し方について、アイドルをかなり参考にしているんです」とのことで、音楽ビジネスにおいても声優業界が芸能界に近づいていることがうかがい知れる。

 これらを背景に、現在、大規模な声優コンサートやアニメ系音楽イベントが催されているが、こうしたイベントはすでに飽和状態にあると、関係者は嘆く。

「どのアニメ系音楽イベントも出演アーティストに違いがなく、新人を売り出す場合以外、レーベル側としては出演するメリットを感じません。そのため、声優事務所によっては一切出演をさせないところもあります」(同)

 CD収益の減少によって、イベント収益を見越した音楽業界の夏フェス乱立と同じような状況が、アニメ系音楽イベントでも起こっているということだ。「アニメ系音楽イベントは、今やらないと儲からないということで、売り逃げに走っていると感じます。声優の音楽ビジネスは、今後中長期的プランを考えなくては、先細っていく一方でしょう」(同)と、決して先行き安泰とはいえない状況なのだ。

声優音楽は水樹奈々の独壇場!?
売上で見る“音楽”で売れる声優

 隆盛する声優音楽だが、その実力はいかほどか? アルバム初週売上の上位3名を紹介しよう。

1307_seiyu_04.jpg

No.1
■声優界断トツの歌姫
水樹奈々
『ROCKBOUND NEIGHBORS』
9万6661枚/最高2位/2012年12月12日
昨年末に発売したアルバムが、1位のEXILEに1403枚差にまで迫るなど、声優界では独走状態。オリコン上位の常連である。


1307_seiyu_05.jpg

No.2
■17年のキャリアはダテじゃない
坂本真綾
『everywhere』
4万7381枚/最高3位/2010年3月31日
菅野よう子ら有名プロデューサーの作品が多く、楽曲の評価も高い。11年には、オリコン週間ランキング1位を獲得している。


1307_seiyu_06.jpg

No.3
■00年代からの根強い人気
堀江由衣
『黒猫と月気球をめぐる冒険』
3万3630枚/最高15位/2001年11月29日
90年代末より歌手活動を始め、根強い人気を誇る。爆発的なヒットはないものの、堅調なセールスを上げている。


※アルバムタイトル/オリコン調べの初週推定売上枚数/オリコンアルバム週間ランキング最高位/発売日の順に記載。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論
    • 音楽業界からの【賛辞と批判】
    • 【芸能プロ】的戦略が抱える2つの“矛盾”
    • 令和の【ジャニーズ・シングル】20選
    • 20年代のジャニーズ【ミュージックビデオ】

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者
    • 移ろいゆく【ウクライナ】避難者

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

サイゾーパブリシティ