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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第69回

原子力に代わるエネルギー シェール・ガス革命の陥穽

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『プロミスト・ランド』

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天然ガス会社の社員であるバトラー(マット・デイモン)は、ある農村で天然ガス採掘に向けた契約を取りに回っていた。町人たちから親しまれ、順風満帆に思われたバトラーの前に、思いもよらぬ敵が現れる……。

監督/ガス・ヴァン・サント 製作/クリス・ムーア、ジョン・クラシンスキー、マット・デイモン 出演/マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、ローズマリー・デウィットほか 日本での公開は未定。


 高すぎる石油価格のために航空会社は経営難にあえぎ、その石油産出量もすでにピークを越えて、あとは枯渇に向けて減少の一途。頼みの綱の原子力の安全神話も崩壊した今、シェール・ガス革命に世界の期待がかかっている。

 シェール・ガスとはシェール(頁岩)層にある天然ガスのこと。頁岩とは泥が圧縮されて固まった岩だ。従来、天然ガスは砂岩の層から採取されていたが、高圧の水を使って固い岩を破砕する新技術によって、頁岩からもガス採取が可能になった。これを水圧破砕法(ハイドローリック・フラクチャリング)と呼ぶ。

 この水圧破砕法のおかげで、米国での天然ガス生産量は2012年にロシアを超え世界最大になった。日本への液化天然ガス輸出も承認された。近い将来アメリカのエネルギー需要の4割が天然ガスになると予想され、原子力に代わる発電エネルギーになるともいわれる。

 しかし水圧破砕法の危険性も問題化している。水圧破砕法に使われた天然ガスを含んだ水が、地下水を汚染するというのだ。10年に作られたドキュメンタリー映画『ガスランド』は、全米各地の天然ガス採掘現場を訪れ、天然ガスを含んだ井戸水で家畜が死ぬなどの被害をルポする。また、汲み上げた地下水を浄水して水道水にしている場合は、それも汚染される。ひどい時は、水道の蛇口にライターを近づけると引火して炎が燃え上がる!

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