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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第38回

『原子爆弾とジョーカーなき世界』

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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『原子爆弾とジョーカーなき世界』

 この号の「サイゾー」が発売される数日後に、僕の4冊目の単著が発売になる。

『原子爆弾とジョーカーなき世界』――これは月刊「ダ・ヴィンチ」(共にメディアファクトリー)の連載(の最初の一年分)を一冊にまとめたものだ。いまも続くこの連載は、毎月1本、僕がいま一番興味を持っている作品やイベントなどを取り上げてがっつり(約6000~10000字)論じている。この本にまとまっている最初の1年(2012年度)は、映画『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』、ドラマ『平清盛』『カーネーション』、イベント『特撮博物館』、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』などを取り上げている。また、この単行本には収録されないが、先々月はドラマ『最高の離婚』、先月は小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、そして今月はアニメ『イナズマイレブンGO クロノ・ストーン』について取り上げた。本の中にボーナストラック的に収録したのは、ほかの媒体に書いたものをベースにした脚本家・木皿泉論だ。

 あらためて読み直してみると、昨年1年は震災というインパクトを受け止めて、次のステージ――つまり、耐用年数を過ぎた戦後的なものから日本社会のOSをアップデートする作業――へ移行していくというかたちで自分の思考が動いていったことがよくわかる。

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