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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第39回

「ネット選挙解禁」をめぐる議論の争点

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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『知っておきたいネット選挙運動のすべて』

 先日、ある新聞社から取材を受けた。インターネット選挙運動の解禁で政治はどう変わるのか、というテーマだった。具体的には来るべき参議院選挙において、どのような効果が見られるのか、という話の、それも僕からはやや煽り気味の談話を引き出したかったようだった。僕個人の感想としては、もちろん長期的にはインターネットを活用した選挙活動はこの国の政治文化を変えていくと考えている。しかし、この記者が僕から引き出したかったと思われる議席の増減に直結するような効果が、この夏の参議院選挙で顕著に表れるとは考えにくい。

 そう答えると、今度は「では宇野さんは、インターネット選挙運動解禁の効果は薄いとお考えなんですね」と誘導された。そういう問題じゃないのだ、とゼロから説明し直していく途中で、どっと疲労感に襲われた。法律がひとつ変わっただけで、目に見える効果がすぐに表れるようなことも世の中にはたくさんあるのだろうが、そうじゃない問題のほうが多い。

 大切なのは、この一回で目に見える大きな効果が出たか出ないか、出ないならそれは意味がないのだ、といった短絡的な思考に陥らないことだ。この法律の範疇で何ができて、何ができないのか。できることで効果が見られたのは何か。あるいは効果を上げなかった運動が効果を上げるためには何が必要か。そして、法律自体はこの先どのように変えていけばいいのか。こうした議論を徹底することが重要なのであって、「インターネットが政治を変える」的な若手言論のキャッチフレーズの是非を問うゲームとして、この法律改定を捉えるべきではない。

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