──飛ぶ鳥落とす勢いで市場シェア拡大中のNHN Japan社だが、内部に不安材料はないのか 現役社員の方々に、コッソリ社内事情を聞いてみた。
『できるポケット LINE 公式ガイド』(インプレスジャパン)
今年1月、正式にライブドアとネイバージャパンを経営統合し、これまでに比べて格段に図体の大きい会社となったNHN Japan。社員数は約600名から、一挙に倍近い約1000名まで膨れ上がった。ライブドアも、00年代の一連の事件はあれど、確固たるサービスを運営して一時代を築いてきた会社である。それが日本では新興企業ともいえるNHN Japanに統合されたとなれば、社内では衝突も起こりそうなものだが……。
「それが、今のところはまだ、経営統合したといっても、実質バラバラに動いているんですよ。オフィスも別です。旧ライブドア勢は相変わらず西新宿オフィス(新宿区)ですし、NHN JapanとNAVERのほうは大崎オフィス(品川区)のまま。なので、一部を除けばほとんど交流はないんです。今年の10月には全社が渋谷ヒカリエに入居する予定なのですが、そこでも複数フロアを使うので、おそらくもともとの母体とサービスに沿って分離させられるんじゃないかという話です。だから今のところ残念ながら、衝突らしい衝突はないですよ(笑)」(NHN Japan・社員A)
そうなると今度は逆に、サービス間の横の連携が難しくなりそうな気もするが、ひとまずは安定しているようで何よりだ。しかし別の社員によれば、「出身母体とは違うけど、部署間の微妙な力関係は存在します!」とのこと。
「結局今って、どこに行ってもウチの会社は『LINEの会社』なんですよ。社内で一番元気がよくてイケイケなのも、やっぱりLINEの関係者たち。だから、別部署でニュースサイトの編集やエンジニアなどをやっている人でも、合コンなんかだとLINEの名前を出して女の子を釣ってるらしいですよ(笑)。でも別に、LINE担当の人たちが偉そうとか、そういうことはないですけどね」(社員B)
これだけLINEの認知度が上がった今、やはり同サービスは花形部署になっているようだ。会社としても、LINEの今後の展開については慎重になっている様子が、本特集の取材を通して感じられた。そして、そのしわ寄せが及んでいる部署も出てきている。
「スマートフォンのブラウザからライブドアニュースを見ると、記事によっては下部に『LINEで送る』というボタンがついています。これをタップすると、LINEのアプリが起動し、友人にニュースのURLと見出しを送ることができる。ニュースサイトによくある『ツイッターでつぶやく』『はてなブックマークする』『ミクシィチェックする』というボタンと同じ機能です。これによって、ニュースをネタに同じサービスを使っているユーザーと交流することができるんですが、今、NHN Japanが運営しているニュースサイトであっても、なかなかこの『LINEで送る』ボタンをつけさせてくれない、とディレクターの子が嘆いていました。ミクシィやツイッター、フェイスブックとは連動できるのに自社サービスとはできないのは、ちょっとケチくさいんじゃないかと思っちゃいますね」(社員A)
同社のニュースサイト編集者には、もともと紙媒体の編集から、ここ2~3年の間に転職してきた人間が多いという。せっかく制限の少ないウェブ編集に転じたのに、社内事情で妙な制限をかけられるのは癪なことだろう。そして最後に、時勢柄か、こんな声も。
「韓国が母体の会社ですから、役員や技術者にも韓国人は当然多いんですが、オリンピックの日韓戦などの時には微妙な雰囲気も漂ってましたよ(笑)。でも今や日韓情勢が緊迫してきて、冗談でなく怖いという気分もあります。 昨夏のフジテレビデモのように、親韓バッシングの矛先がこちらに向いたら……と、時々不安になりますね」(社員B)
韓国資本の企業が、日本国内市場で日本産のオリジナルサービスを打ち出して大々的に成功するケースはこれまで類を見ない。今回の竹島騒動がどう決着を見せるのか、一番かたずを飲んで見守っているのはLINE関係者かも?
(構成/編集部)