サイゾーpremium  > 特集2  > ダンスがアイドルに奇蹟を生んだ……!? ...
第2特集
アイドルにとってのダンスの意味を探る【1】

ダンスがアイドルに奇蹟を生んだ……!? AKB48に神が宿った理由

+お気に入りに追加

──アイドルが踊るとき、そこには神が出現するという──。アイドルにとってダンスとはなんなのか?その根本的疑問に答える、画期的アイドルダンス論をご開陳!!

モーニング娘。もAKBも夏先生に育てられました。

 AKB48のブレイクを機に、活況を呈している女性アイドル業界。AKB48の妹分・SKE48、スターダストプロモーションが売り出すももいろクローバー、アップフロントが売り出すモーニング娘。の妹分・スマイレージ、さらにエイベックスが売り出す東京女子流などのアイドルグループが後を追っており、多くの芸能メディアも「アイドル戦国時代」などと騒ぎ立てている。

 そうした活況の要因として、日常的にパフォーマンスを見られる劇場公演やじかに触れ合える握手会イベントなどの成功がある。まさに、AKB48プロデューサー・秋元康が言う「会いに行けるアイドル」の一般化というわけだ。

 これに伴い、アイドルがテレビや雑誌でただ笑顔を振りまいていればよかった時代は終わりを告げた。今やアイドルにとって重要なのは、カメラの前での作り笑顔ではなく、ましてや歌唱力でもなく、ライブ会場でのひたむきさやファン一人ひとりへの目視、握手の際の会話や握力など、生身の身体性のアピールなのだ。

 しかし、だからといってアイドルにファンタジーが求められなくなったわけではない。多くのファンとじかに触れ合わなければいけない現代においてさえなお、アイドルには、その語源たる偶像性が要求される。これは、非常に過酷な事態といわねばならない。その際に最も有効的な方策は? それは──ダンスだ。

 古来舞踏は、ハレとケ、非日常と日常とを区別するための重要な儀式であった。生身の身体を使いながら、しかし日常にはない動作──舞踏を舞うことによって、人は日常を忘れ、神聖な儀式を、あるいは快楽のための祝祭を催した。

 それは現代においてもなんら変わりはない。アイドルが生身の身体をもって舞い踊るとき、そこには非日常が出現し、神が宿る。生身の身体性の中にある神性。出雲阿国の時代から変わらぬ、この絶対的自己矛盾。そこに我々は、アイドルという名の神を見る。だから我々は、語らねばならない。アイドルダンスという名の奇蹟を、神の御業を──。

実はハイレベルなPerfumeのダンス

 というわけで、数ある現役アイドルの中でも、特に神の御業──もとい、ダンスのうまい6人を選んでみたのが、当特集【2】の表だ。 ハロー!プロジェクト・キッズ時代からの10年近くにわたる圧倒的な経験量で、質の高いパフォーマンスを見せるBerryz工房や℃-ute。逆に経験も浅く、楽曲ごとに毎回まったく異なるテーマを打ち出しているAKB48は、その交代可能性を逆手に、その内部から梅島夏代といった個性的なダンスチームが自発的に誕生するほどに成長した。また、AKB48に対する対抗意識からか、常軌を逸する練習量でキレのあるダンスを身につけていったSKE48や、アクロバティックなダンスを見せるももいろクローバー、そのほかにも、訓練されたスクール系ダンスの東京女子流なども存在し、ダンスだけを見てみても、現在が「アイドル戦国時代」にあるのは間違いなさそうだ。

「今のアイドルでダンスが抜群に面白いのは、Perfumeをおいてほかにないでしょう。コンテンポラリーダンスの動きを持ち込み、圧倒的な支持を得た。ただコミカルなように見えますが、相当の力量がないと踊れないダンスをしています。それに対し、技術はありながら個々人の自由さが光るBerryz工房、技術はない代わりに集団の統一的な動きで見せるAKB48などなど、今アイドルのダンスはレベルが高く、ワクワクしますね」(ダンスカンパニー・コンドルズの勝山康晴さん)

 そんな個性あふれる彼女たちのダンスにおいて、欠かせないのが振付師の存在である。モーニング娘。や初期のAKB48の振り付けを担当した夏まゆみに、現在AKB48とSKE48の振り付けを担当する牧野アンナ。さらに、Perfumeの振付師であるMIKIKOや、近年のBerryz工房に振りを提供しているラッキィ池田など、ダンスが魅力的なアイドルの周囲には、必ず優秀な振付師の存在がある。PVなどビジュアル込みで売られる度合いの強いアイドルにおいて、目に見える動き──ダンスでインパクトを与えたいという思いは強く、振付師の選択はかなり重要なものであるようだ。

「振付師の仕事は、振りを教えることではなく、考えることがメイン。レッスンに関しては、ある程度のキャリアのあるアイドルであれば基礎ができているので、場合によっては振付師さんが作ったダンス習得用のムービーだけで完成まで持っていくことも少なくないんです。ただ、個々の動きではなく全体の動き、つまりフォーメーションの指示は、立体的な目を持った人でなければダメ。これがきちんとできる人というのは、やはり一種の天才ですね」(レコード会社プロデューサー)

 普通のダンサーでもそれなりの振りを考えることはできるが、キャラの立った振りを考え、印象的なフォーメーションを組めるプロとなると日本に10人もいないのではないかと、同氏は語った。

「今、東アジアを中心に、海外でも日本のアイドルが受け入れられつつあります。英語で歌えない日本のアイドルにとって、その際重要な要素となっているのが、実はコミカルでわかりやすいダンスなんです。秋元康さんもAKB48ビジネスのフォーマット化と海外展開を盛んに語っていますが、その際、ダンスの重要性はますます高まってくるでしょうね」(同)

 では、アイドルのダンスが、これまで日本国内においてどのように歴史と絡み合い、進化を遂げてきたのか? 当特集【4】の年表と共に、分析を加えてみたい。

(文・構成/エリンギ、有馬ゆえ──ノオト)

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論
    • 音楽業界からの【賛辞と批判】
    • 【芸能プロ】的戦略が抱える2つの“矛盾”
    • 令和の【ジャニーズ・シングル】20選
    • 20年代のジャニーズ【ミュージックビデオ】

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者
    • 移ろいゆく【ウクライナ】避難者

NEWS SOURCE

インタビュー

サイゾーパブリシティ