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第1特集
"AV新書"が持つ直接的表現の官能度【3】

官能小説研究家が語る「情緒的表現と細分化する官能小説の現在進行形」

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──当特集【2】まででは、アダルト新書という新ジャンルの登場に触れた。では、これまで文章による性表現を独占してきた官能小説は、今どうなっているのか?

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永田守弘氏の「教養としての官能小説案内」

 独自の表現を獲得したセックスハウツーに対し、今もその文体を守り続ける官能小説。官能小説研究家・永田守弘氏によると「表現に関しては、成熟しきった感がある」という。

「戦後の官能小説の歴史は、規制の歴史。それこそ60年代までは『挿入』という言葉すら使えませんでした。そこで登場したのが、感覚文体。つまり官能小説的な置き換え語ですが、それは単に規制を避けるだけでなく、人間の機微やペーソスを描く機能も果たしてきた。四文字言葉(オ◯ンコなど、口にするのをはばかられる語句)よりも『秘唇』のほうが官能的ですよね。ただ、感覚文体が誕生してからすでに半世紀。さすがに出尽くしたのか、最近は読者の嗜好のせいもあって奇抜な表現にお目にかかることも少ないですね」

 ただし、永田氏は「そこに描かれる物語は時代とともに移り変わっている」とも指摘する。

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