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第1特集
時代によって変わる不敬本の定義と思想【1】

日本最大のタブー“天皇制”に挑む、不敬本の文学的・思想的変遷

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──作者が意図するかしないかは別として、天皇や皇族の尊厳を害した「不敬本」は規制された時期がある。だが、表現の自由が保障されている。現在では、法律とは関係なく不敬とされる行為は問題視され、自主規制の対象となる。その歴史的変遷をひも解いてみたい──。

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渡部直己氏の著書『不敬文学論序説』。

 1880年、当時の刑法において「不敬罪」が明文化され、天皇や皇族、神宮や陵墓の尊厳を害する不敬行為が禁じられた(罰則は2カ月以上5年以下の懲役)。"不敬"が刑法によって禁じられたことにより、「小説というジャンルは大きな影響を受けることになった」と、『不敬文学論序説』(ちくま学芸文庫)の著者・渡部直己氏は語る。また、同氏は最初に不敬とされた作品は、1906年に出版された『良人の自白』【1】だという。

「同書の冒頭では、帝国大学(現・東京大学)の卒業式に背を向ける主人公の姿が描かれています。そこに明治天皇が来臨するシーンがあり、木下は意図的に天皇を描写している。天皇自体を作品に登場させるという行為は、当時として本質的に『不敬』であり、後の1910年に発禁処分を受けることになりました」(同)

 明治期の大規模な社会主義運動に影響を受けて出版された同作だが、天皇の直接描写は当時の文学界において革新的であったに違いない。しかし、同書発禁年には、天皇暗殺を計画したとして、幸徳秋水ら20名以上が逮捕、検挙された大逆事件が発生。多くの社会主義者が処刑され、「社会主義冬の時代」が訪れた。

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