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加盟店vs本部の「最大の争点」 ロスチャージ、コンビニ会計とは?

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「たくさん仕入れて、たくさん廃棄して」が本部の本音 !?

 今回、排除措置命令が出された見切り販売制限とセットで考えないといけない問題に「ロスチャージ」と呼ばれるコンビニ独特の会計方式がある。

 セブン-イレブンをはじめとした多くのコンビニでは、加盟店は売上総利益(粗利)に対して掛けられたチャージを本部に支払うことになっている。しかし、この売上総利益を計算する上で、棚卸ロス(万引などで紛失した商品の原価)や廃棄ロス(賞味期限切れなどで廃棄された商品の原価)にまで、チャージが加算されることになるのだ。

 たとえば、原価80円のパンを10個仕入れて定価100円で8個売れ、残り2つを廃棄したケースで見てみよう。

〈一般会計(通常商店の場合)〉
売上総利益=売上高−売上原価
売上高=100円(定価)×8個(売却数)=800円
売上原価=80円(仕入原価)×10個(仕入数)=800円
売上総利益=800円(売上高)−800円(売上原価)=0円

 売上原価には、廃棄した2つ分の仕入原価も含まれる。800円の売り上げを上げるために、800円の原価がかかっていると見るわけだ。仮にこの一般的な会計制度におけるチャージ率が50%だとしても、売上総利益は0円のため、本部への支払いも発生しないことになる。

〈コンビニ会計(ロスチャージ導入の場合)〉
売上総利益=売上高−純売上原価
純売上原価=売上原価−廃棄商品の仕入原価
売上高=100円(定価)×8個(売却数)=800円
純売上原価={80円(仕入れ原価)×10個(仕入れた数)円}
−{80円(仕入れ原価)×2個(廃棄商品)円}
=800円−160円=640円
(売上総利益)=800円−640円=160円

 コンビニ会計の場合、800円の売り上げを上げるのにかかった原価は、売れた数の分(この場合は、80×8=640円)だけと見るわけだ。すると、売上総利益は160円になる。この160円に対して50%のチャージ、80円が課される。つまり廃棄商品の原価分にチャージがかかっていることになるのだ。そのため、実際には売上総利益は出ていないのに、チャージだけは取られて赤字になる。加盟店側はこれを「ロスチャージ」と呼び、不当な搾取だとして批判している。

 加盟店は、廃棄が増えると、廃棄商品の原価分を負担するだけではなく、ロスチャージも膨れ上がり、経営を圧迫するのである。このため、加盟店は、極力廃棄を減らすための見切り販売などに踏み切らざるを得ないのだ。


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