タレント・来栖あつこが選ぶヤバいくらいためになった本

元恋人とのあの"騒動"後に読んだ自衛隊員の恋愛を描いた短編集

(写真/田中まこと)

 恋愛小説はあまり読みません。どちらかというと浅田次郎さんのような人情ものや、宮部みゆきさんみたいなファンタジーが好きなんです。仕事柄、短い時間でもさっと読めたり、あるいは日常とはかけ離れた話だったりするほうがすんなり物語の世界に入っていけるんですね。

 でも、今年読んだ小説で一番面白かった有川浩さんの短編集『クジラの彼』は、恋愛小説なんですよ。6月のあの大変な事件【註】があって、やっと心に余裕が出てきた頃に読んだんです。

 もともと私は『ラブ・アクチュアリー』のような映画が好きで、ああいう"心温まる群像劇"っぽい小説ということでお友達から薦めてもらったんですけど、実は恋愛ものだったんです。もしお友達が「恋愛小説なんだけど」と言ってたら、絶対読んでなかった。今もそうですけど、恋愛はしばらくいいやっていう気分だったので(笑)。

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