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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第15回

堀江貴文実刑確定に抗議する

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既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら! ジェノサイズのあとにひらける、新世界がここにある!

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『収監 僕が変えたかった近未来』

 去る4月26日、ホリエモンこと堀江貴文氏の実刑が確定した。

 すでに多くの指摘がある通り、堀江氏の逮捕自体、国策捜査としての側面が強い。例えばライブドア(当時)とほぼ同内容の「粉飾」と解釈し得る会計を行った大企業は少なくない。日興コーディアル証券や山一證券、そしてカネボウ……だが、これらの企業の経営者が堀江氏と同様の処分を受けたかというと、そんなことはない。その多くが罰金や追徴課税をもってして処分とされているし、責任者が起訴を受けて有罪となっても執行猶予がつけられている。少なくとも僕は、堀江氏のみに実刑を受けるだけの悪質な違法性があったという見解に対しては、疑問を抱いている。はっきり言ってしまえば、アンフェアだ。

 ここに、堀江氏をある種のイデオロギーの代表者と見なし、それを葬り去ろうとした意図があったことは明白だ。堀江貴文は確かに“彼ら”にとって〈敵〉だったかもしれない。その存在が体現したのは、もはや〈戦後〉には戻れないというメッセージだからだ。終身雇用、年功序列、株の持ち合いによる護送船団方式……これらはすべて冷戦下の戦後的政治体制の産物であり、冷戦終結&バブル崩壊後に継続できるものではない。日本的企業社会は、グローバル化の時代に合わせて変化しなければならないのだ。堀江氏は、そのメッセージを実践で示し、そしてアンフェアな手で潰された。死んだ魚のような目をしながら「あの頃はよかった」と、なくしたものの数を数えてばかりの老人たちに、既得権益を侵す者として敵視されたのだ。この国では、「目立つことをやる」「改革者」は社会が足を引っ張って潰そうとする。

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