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第2特集
極私的 MJ(マイケル・ジャクソン)論──マイコーりょう[マイケル・ジャクソン・ インパーソネーター]

マイケルがいなくなっても僕は"彼"をやり続ける

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 ロサンジェルスの友人から電話をもらって、MJの死を知りました。最初は「またマイケルのことだから、話が大きくなってるんじゃないか」と半信半疑だったけど、報道を見て事実とわかった途端、頭が真っ白になった。

 今までの人生で自分が乗ってきたフィールドが、一気に崩れていくのを感じました。
 
 亡くなって半月後、追悼のためにアメリカへ飛んだんです。回ったのはビバリーヒルズの自宅、ロスのチャイニーズシアター、「スリラー」のPVを撮影した倉庫街......。ネヴァーランドでは献花してたら、彼のファンに「BGMをかけるから踊ってくれないか?」とリクエストされて。セキュリティも、1曲だけならいいよと許してくれたので、「ビリー・ジーン」を踊りました。
 
 といっても、現地ではパフォーマンス用のコスチュームを着てたわけじゃないですよ。格好は黒いパンツ、白いシャツ、黒いハット。ただ僕の場合、それでもMJのシルエットになるので、彼のファンによく話しかけられましたね。アメリカでも、MJを崇拝して、手袋をしたりスパンコールのジャケットを着てる人はいるんです。でも化粧して、ここまでルックスを彼に寄せてる人はあまりいない。マイケルは偉大だけど奇人のイメージも強いから。僕はインパーソネーター【編注:著名人に扮し、そのキャラクターのすべてになりきる人のこと】としての覚悟はできてるんで、何か言いたい人は言えばいいという気持ちでした。

 僕が「マイコーりょう」としてデビューしたのは2年半前。もともとダンサーをしていて、キャリアを重ねるうち、「自分がなりたかったものってなんだろう?」と考えるようになったんですよ。そこで思い出したのが、ダンスが好きになったきっかけ──自分の原点はMJであったこと。ちょうどその頃、仕事でラスベガスに行く機会があって、ホテルのクラブで踊ってたら「ビリー・ジーン」がかかったんです。それに合わせて踊ると、ぎゅうぎゅうだったフロアで僕の周りだけ輪が開いて、アメリカ人に「おまえすごいな! マスター・オブ・MJだ!」と褒められた。そこで「こんなに本場で評価されるんなら、世界で戦えるスキルあるな」と思って、マイケルをやってみようと決意したんです。

 デビューして最初の2年は、笑いを入れずにやってました。僕がやってるインパーソネーションはいわゆるモノマネとは違って、本人になりきる存在感が面白さであり、芸なんです。でも日本だと、笑いを絡めないとなかなか世に出るチャンスがないので、最近になって日本の曲に合わせたパフォーマンスを始めました。世界中でMJのダンスをするパフォーマーはたくさんいるけど、歌にルックスまで加えて3拍子揃ったパフォーマーは、僕を含めて数人しかいないんじゃないかな。似せるために、体形維持に気を使ってます。あと肌を焼かないように、自然と海へ行かなくなりました(笑)。

 MJの魅力? それは存在そのものですね。ボーカルのパワー、ルックスのセンス、スタイル、キレのあるダンス。一つひとつが得意な人間はいても、マイケルのように全てがひとつの体に宿っている人間はめったにいない。あとは、人種を超えたパフォーマンス。去年アメリカで武者修行してた時、ラスベガスのホテルで行われてるカラオケナイトにエントリーしたら、参加者がゴリゴリのウエスタン系白人ばかりで、歌われてる曲もほとんどカントリーだったんですよ。それで「来るところ間違えたな〜」と思いながら「ビリー・ジーン」を歌ったら、ドカーンとうけた。その時感じましたね。「ああ、マイケルは別格なんだ」って。

 彼は亡くなりましたが、活動は今後も続けていきます。僕の役割は、インパーソネーターとして彼のパフォーマンスを次の世代に伝えることだと思ってるので、亡くなったら辞めるという考えはないんです。笑いを入れるようにしたために誤解される方もいるんですけど、基本、彼をリスペクトするというコンセプトなので、自分の中で不謹慎という気持ちもありません。彼のスキャンダラスなネタで笑わせることはしないし、パフォーマンスのすごさだけを取り出して見せたい。僕は子どもの頃、彼の歌と踊りで魔法をかけられて、まだ魔法がかかったままなんですよ。魔法使いは遠くに行ってしまったけれど、これからは僕が世界中に魔法をかけていく番。そういえばこないだ、僕のパフォーマンスを見た幼稚園児が、翌日から園内でフォーフォー言いだしたらしいです(笑)。早速、魔法をかけてしまいましたね。

 目標はもっと有名になって、セレブリティなポジションに就くことです。そうすればリムジンが迎えに来たり、SPに守られたり、周りもマイケルっぽく扱ってくれるじゃないですか。それで飛行機はエコノミー席に座ってたら、それもまた面白いでしょ(笑)。これからもMJのインパーソネーターの道を進んでいくので、応援よろしくお願いします。キョウハドウモアリガトウ!(急にカタコト)
(談)

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まいこーりょう
マイケル・ジャクソンのインパーソネーターとして、『エンタの神様』(日本テレビ)、『イツザイ』(テレビ東京系)などに出演中。ブログ「WELCOME TO NEVER LAND」


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