サイゾーpremium  > 特集  > 宗教  > 【教団エリート養成学校】の内情
第1特集
宗教エリート学校の隠された実態?

「蓮華の代紋」を背負った学生生活とは? 教団エリート養成校に通っていた宗教3世だけど、逃げ出しました

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――「宗教2世」によるエッセイやマンガが話題だが、小誌連載陣のひとりでコラムニストの更科修一郎も、とある有名教団の宗教3世だ。しかも、教団の運営する学校に通い、「末は幹部か国会議員か」と期待されていたようだが、信仰心を持たない者の新宗教ライフとはどんなものだったのか?

まさに「寝た子を起こす」か。安倍晋三銃撃事件以降、統一教会献金問題が再燃しているが、むしろ、オウム真理教の地下鉄サリンテロを頂点とする90年代のカルト宗教問題を完全に忘却していたこの30年は何だったのかと、不思議な気分になる。

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(絵/藤本康生)

……というか、本誌連載コラムでも何度もネタにしているから周知の事実だろうが、筆者は有名な新宗教の「宗教3世」だ。しかも、30年前の筆者は教団のエリート養成学校をドロップアウトし、角川書店分裂騒動の研究同人誌なんて作っていた。これはこれで当時は兄のコカイン逮捕、今度は弟の贈賄逮捕だから感慨深いのだが、今回のお題は通っていた学校の件だ。いや、ドロップアウトと書いたが、別に信仰へ疑問を抱いたわけではない。最初から信仰心皆無なのに「間違って入ってしまった」のだ。

元を辿れば、狂信的な2世の母親は筆者を純粋な信仰者に育てるべく、幼少期から教団関連本以外の読書を禁じていた。その反動で図書館や書店に入り浸った結果、中二病をこじらせ「おれの神はおれだけだ!」という思考へ至り、カルトの精神支配から逃れたのだ。母親からは「増上慢」とさんざん殴られたが、宗教は絶対悪だから対抗する暴力も必要悪と考え、容赦なく殴り返した。おかげで山上徹也容疑者にはならずに済んだが、そんな家庭環境なのに教団の学校へ行かざるを得なかったのは「合格しなければ帰国させない」と言われたからだ。そう、筆者は父親の事業の都合で海外在住だった。

かくして「まんがの森(というマンガ専門店があった)もない国でこれ以上暮らせるか!」と啖呵を切り、3年ぶりに一時帰国したのだが、入学試験は白紙提出した。全科目ではないが。実は親戚筋と内通し、普通の学校へ行く手はずを整えていた……のだが、なんと合格してしまった。予想外の事態にブチ切れたら、教団の青年部長だったMから説得される羽目になった。「次期教主候補の大幹部まで出てくるとは、どうなってんだ?」と首をかしげたが、入学式で謎が解けた。教団の機関紙から取材があり、またムカついたので「勝手に書けよ」と答えたら、本当に一面記事で記者が書いた「決意表明」が載ったのだ。たぶん定員割れした帰国子女枠のプロパガンダのために、下駄を履かせたのだろうが、信者向け新聞記事のために合格させたのかよ!

入学からそんな調子では学校になじめるはずもなく、純粋培養されたカルトの子たちを見て「こいつらみたいにはなりたくねえな」と思っていた。親が熱心な信者だから、うっかり教主と同じ名前を付けられた生徒があちこちにいるのだ。

現代社会の授業で教科書を使わず、代わりに教主のスピーチが載った機関紙のコピーが配られたのにはうんざりしたが、さらにうんざりしたのは7月の学園祭でのマスゲームだ。教主が来るので、6月後半から授業そっちのけで練習するのだが、やる気のない筆者は体育教師によく殴られた。昔の教師は反抗的な不良生徒をすぐ殴ったので、カルト特有の事象でもないが、命令で行かされた大学の学園祭では「この大学周辺の橋は全部おれが造ったんだ!」と、昭和の土建屋魂全開で吠え、機関紙ではそこだけ省略されていた教主の面白スピーチも、高校では普通で教条的だからスピーチ中に舟をこぎ、やっぱり教師に殴られた。

生徒も思っていたよりは普通だった。小中学校からエスカレーター式に進学した近郊の通学組は、わざわざ信仰の強さを競う必要がないからだが、彼らも筆者を変人扱いしつつ面白がっていた。

さすがに同人誌は持ち込まなかったが、それこそ角川書店界隈のオタク向け雑誌から、『ガロ』(青林堂)や『噂の真相』(噂の真相)、果てはペヨトル工房の本やワープロまで持ち込んでいた。たまたま近隣に美大生御用達のサブカル性感度が強い書店があり、つい買ってしまうのだが、放り込まれた寮は監視役の先輩と2人部屋だから、学校で読むしかなかった。

実際、カルト性が強かったのは地方から出てきた高校入学組で、筆者も寮生なのによく学校をサボったから、たびたび総括リンチで自己批判を強要されていた。田舎者ほど信仰がカルト化するのは、北海道出身の母親と祖母が、敵対宗派の僧侶を吊るし上げた武勇伝を自慢していたのでよく知っているが、長崎出身の純粋まっすぐ君なT先輩の涙ながらなエンドレス説教は「これがカルトの精髄か……」と戦慄した。

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