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AmamiyaMaakoの「スタジオはいります」【9】

【TOMOKO IDA】考えすぎず行動へ すべては体当たり!

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――クリエイティブを学び取れ! 気鋭のDTM女子による音楽道場破り

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(写真/河本悠貴)

[今月のゲスト]

TOMOKO IDA(ともこ・いだ)
東京都生まれ。トラックメイカー/プロデューサー。2008年から単身でニューヨークへ留学。帰国後は2人組女性ユニットのビートメイカー担当としてメジャーデビュー。現在はSixTONESやTHE RAMPAGE、SWAYなどを手がける引く手あまたのプロデューサーとして活躍している。
Instagram〈tomokoida

今月はダンサー、DJを経てビートメイカー/プロデューサーとして活躍されているプロデューサー・TOMOKO IDAさんの制作部屋にお邪魔してきました。制作のお話はもちろんですが、今回は“コライト”についてお勉強したいと思います!

AmamiyaMaako(以下、M) TOMOKOさんは幼少期からピアノとダンスを始めていますが、ビートメイクを始めるきっかけはなんだったのでしょうか?

TOMOKO IDA(以下、T) 小さい頃から良くも悪くも冷静にものを見がちな性格だったんです。小学1年からダンスを始めたんですが、「私ダンスうまいわー。一番ヤバいわ」とか思ってたんですけど、(当時通っていた)新宿区の学童全員が参加するダンスイベントに出たときに、トリで踊った小学6年生の2人を見て、「あ、私全然ダメじゃん。これじゃ一番になれない」と悟っちゃったんですよ。それからDJを始めるんですけど、すでにDJ KAORIさんやDJ MAYUMIさんという先駆者たちがいて、かつトップに君臨している。「TOMOKOのDJ、いいね」とか、良い評価をもらえてはいたんですけど、どこか気持ちは中途半端で。そこで「女性のプロデューサーって少ないよな」ということから着手したのがきっかけだったと思います。

M 留学もされていますが、それはビートメイクのために?

T ヒップホップが好きで、音楽業界で生計を立てていくと決めたときに、私が好きなアーティスト、成功者はみんな海外生活をされてた方だったんです。その土地を経験せずに活動するのは……と思い、期間を1年間と決めてニューヨークに移住しました。

M よっぽどの情熱がないと踏み出せないと思うんですが、背中を押した出来事は?

T とにかく経験を積んで、それを生かしたいという気持ち。なので、ダラダラとずっと住むのではなく、1年間と期間を決めて……結局は諸事情で1年半ほど住むことになったんですけど、いろいろ経験は積めました。

M 人脈も広がりましたか?

T SNSでDMを送れる時代ではなかったので、レジェンドのライブに足を運び、私が作ったビートを収録したMDやCD-Rを渡して連絡先を交換する、ということを続けていました。ただ、今でも変わらないと思うんですけど、“アジア人の女性ビートメイカー”なんて、なんの看板にもならないんです。連絡先を交換しても相手から連絡が来ることはなかったし。ただ、ライブで仲良くなったヘッズやお客さんとつながったことで仕事になったものもあって。クール・ハークというレジェンドのDJがいて、彼のパーティに遊びに行ったら声をかけてくれたのが、ジャ・ルールやアシャンティが所属していたレーベル〈マーダーインク〉の元スタッフだったんです。「トラックを聴かせてくれ」と言われて、「まあまあやるじゃん」と(笑)。そこで「ブルックリンにある古いシアターがあって、記念アルバムをラッパーたちと作るから全曲トラックを制作してくれ」と依頼されたんです。

M すごい!

T 3カ月くらいスタジオにこもって制作していたんですけど、アルバムが出来上がるまでにスタジオで流血の暴力事件があったり、突然パンツの中に手を突っ込まれるセクハラを受けたり。

M ……。

T 結果的に全19曲のトラックを作り、レコーディングも終えて、契約書の内容は日本のロイヤーにも確認してもらったんですけど、発起人であるマーダーインクの元スタッフが逮捕されるというオチが待っていて、結局お蔵入りになってしまいました。このせいで、本来なら1年で帰国する予定だった計画が崩れたんです。お蔵入りになったとはいえ、すべてのマスター音源は、今でも私が所持しているんですが、帰国前に奪われそうになりましたけどね(笑)。

M すごい経験……。

T でも、スウィズ・ビーツを筆頭にNYレジェンズの連絡先をゲットできる、夢のような体験をできたのは、よい経験になりました。

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