サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 【いじめ】の法的解釈と裁判の「争点」
第1特集
被害者、加害者、学校の視点で考える

自殺でも加害者の賠償は数百万円 いじめの法的解決と裁判の「争点」

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──もし、我が子がいじめられていると知ったら、あるいは逆にいじめていると言われたら、どう対処したらよいのか? さらに、それらの場合に担任の先生や学校に求めるべき対応とは──。ここではひとまず「感情論」は抜きにして、被害者、加害者、学校とそれぞれの視点からいじめの法的な解決方法を考えてみたい。

学校は弁護士同伴の話し合いを拒否
【1】旭川14歳少女いじめ凍死事件

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(絵/ミキタナカ)

2021年2月、北海道旭川市で集団性的暴行を受けていた女子中学生の遺体が見つかった。被害生徒が男子から「裸の動画を送れ」と脅迫されて送った画像が拡散され、自慰行為を強要されるなどしていたという。被害者の母親は担任教師にいじめ調査を依頼したが、「仲のいい友達です」と返答されたほか、被害者が担任にいじめの相談をするも加害者にそのことが知れわたっていた。

その後もいじめは収まることがなく、被害者はいじめグループに囲まれ、19年に川へ飛び込む。加害生徒たちは被害生徒が母親から虐待を受けていたなどと供述して警察を欺くが、LINEのやり取りからいじめが発覚。しかし、加害者は証拠不十分で厳重注意に留まる。教頭は母親に対して「学外で起きたわいせつ画像の拡散に責任は負えない」「10人の加害者の未来と、ひとりの被害者の未来、どっちが大切ですか」などと発言したとされる。

被害者は引っ越しするが、PTSDに苦しんだ。そして、約1年半後に突然家を飛び出して行方不明となり、公園で凍死した状態で発見される。その後、旭川市教育委員会や学校は問い合わせの電話が相次いだことから、第三者委員会により改めていじめの事実確認を行うと発表。

しかし学校側は、弁護士同伴で母親と話し合うことを拒否。加害生徒への聞き取り調査を記録した冊子の閲覧請求も拒否。旭川市教育委員会がいじめ防止対策推進法に規定された「重大事態」と認定したのは、遺体発見から1カ月以上経ってからのことだった。

「いじめ防止対策推進法」施行の契機に
【2】大津中2いじめ自殺事件

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(絵/ミキタナカ)

2011年10月、滋賀県大津市で中学2年生の男子がいじめを苦に自殺した。被害生徒は同級生3人からの暴行や暴言が日常化し、「自殺の練習」「葬式ごっこ」や万引きを強要されたほか、被害者宅を訪れて貴金属や財布を盗むといったいじめが続いていたとされる。これに耐えかねて被害者は自殺をほのめかすメールを加害者に送るもスルーされ、翌日、自宅マンションから飛び降りたのだ。

自殺後、学校と教育委員会は「いじめがあるとは知らなかった」「自殺の原因は家庭環境だ」と主張。だがのちに、学校側は生前の生徒から「死にたい」と相談され、職員会議でその事実と、いじめとの関係がある可能性が共有されていたことが発覚した。担任は自殺後の保護者説明会にも出席せず、約1年半も休職したため、第三者委員会の調査が困難に。また、一貫して遺族への説明や謝罪を拒んでいる。

学校が自殺後に実施したアンケートで加害生徒は「死んでくれて嬉しい」「死んだって聞いて笑った」と書いたが、大津市教育委員会はアンケート結果を公表せず、「いじめはあったが、自殺との因果関係は不明」と発表。そして、「いじめた側にも人権がある」として加害生徒への聞き取り調査を実施せず、調査を3週間で打ち切りに。なお、遺族は大津警察署に対して被害届を3度出すも、同署は受理しなかった(大きく報道されると一変して受理)。

こうした学校と教育委員会の対応が社会的に問題視されたことをきっかけに、被害者がいじめだと訴え出た場合に学校側が取るべき対処を定め、不作為に対する責任追及が可能となった「いじめ防止対策推進法」が2013年に国会で可決、施行された。

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