サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 無理やり世界平和を歌いすぎ! 【SDGsソング】寸評会
第1特集
SDGsソング論評会【1】

一歩間違えるだけで死にたくなる再生回数に!綺麗事より現実を歌え! “SDGsソング”の是非

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――17の開発目標に準拠したSDGsソングが続々と生まれている。贅沢に全項目を歌い上げるものがあれば、ひとつの項目に焦点を当てた楽曲も存在する。しかし、著名アーティストであっても、悲しい再生回数となっているのは、世の中の関心度が低いからなのだろうか? いや違う、きっと音楽としてのクオリティによるものだ! というわけで、SDGsソング限定の論評会、開催いたします。

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(絵/ぱいせん)

SDGsソングがつまらない──と、冒頭から断言してしまったが、SDGsをテーマにした楽曲が増え続けている状況をご存じだろうか。無論、知られてなくても仕方がない。著名なアーティストが歌っても、YouTubeの再生回数は1万回に満たない楽曲があり、残念なことに、ただですら綺麗事に聞こえがちなSDGsの概念を、そのまま歌詞にした曲ばかりなのだから。本稿では「We Are The World」とは言わないが、もうちょっと人々から愛される曲が増える未来を願いながら、SDGsソングを真面目に論評!


綺麗事で終わらせぬ比喩表現を効かす歌詞

苦言から呈してしまったので、実はしっかり存在する秀逸な作品から紹介したい。昨年の『NHK 紅白歌合戦』前半で、YOASOBIが5人の子どもたち(ミドリーズ)を連れて登場したシーンを覚えているだろうか。彼らが歌ったのは、同局の子ども向けSDGs教育番組『ひろがれ!いろとりどり』(Eテレ)のテーマソング【1】「ツバメ」だ。教育番組としては夜7時半という遅めの放送時間から、メインのターゲットは小学生高学年~中学生といったところ──なのだが、幼児や小学校低学年も視野に入れた番組構成で、振付師のMIKIKO先生考案の“ツバメダンス”を踊るキッズの動画も募集している。その裏に隠れたターゲットは「我が子を撮影する若い世代の親」への訴求なのかもしれない。

2020年にブレイクしたYOASOBIの音楽性は、00年代から活躍するPerfumeや、10年前後には広く認知されるようになったボーカロイドに親しんだ層も抵抗なく受け入れられるサウンドで、親世代にとっても決してなじまぬ音楽ではない。楽曲のクオリティに関しては本記事末で詳細にレビューするが、曲単体のみならず、演出なども含めて「ツバメ」が素晴らしい理由は、綺麗事の一本調子の歌詞で押し切るタイプの楽曲ではないからだ。ゆえに、若年層のみならず、綺麗事だけでは心が動かされない層にも勧められるSDGsソングである。

続いて、さだまさしによる【2】「ペンギン皆きょうだい2020」。ハワイアン調の音楽に合わせて、さだまさしがペンギンの視点から環境保護を呼びかける。柔らかい音楽と優しい語り口に、聴いていて心が和らぐよう。そのまま中盤からSDGsに言及し、後半は優しい口調のまま、目を背けたくなるような現実を挙げていく。その曲調と歌詞の内容のミスマッチは、さだ本人の意図した通り、キツい歌詞を聴かせることに成功している。そしてこの曲が興味深いのは、企業・団体からの働きかけが見えないところ。電通の調査によると「SDGsの認知度がもっとも低いのは60代」なので、さだの極めて高い意識は、彼と同年代であるコアなファンにもSDGsの存在を働きかけることにも機能しそうだ。

以上2曲は、アーティストの個性がもっともよい形で映し出された好例。他にも別項にてインタビューを掲載しているラップグループ〈ICE BAHN〉による「JA全農」とのラジオCM曲「Life goes on」などもあり、これらをアーティスト型と分類する。次から紹介するのは、アーティスト性よりもSDGsを広める企業・団体の個性が強い企業型を紹介する。

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