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第1特集
大麻産業とSDGsの“密”な関係【1】

禁止するのは人権侵害だ! 世界の持続可能な大麻ビズ

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――SDGsの潮流は各方面に波及するが、大麻産業も例外ではない。世界では今、大麻は貧困を解消し、エネルギー源となり、経済を活性化するものだとして、その持続可能性がガチで議論・模索されているのだ。日本ではイメージしづらいだろうが、これは詭弁ではない(はず)。ジャーナリストの矢部武氏が「大麻とSDGs」をめぐる動向をレポート!

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(写真/Getty Images)

2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)のための2030アジェンダ」は、近年合法化が進む世界の大麻産業にとっても重要なテーマとなってきた。これには30年までに持続可能でより良い社会の実現を目指す世界の共通目標として、貧困、飢餓、健康と福祉、成長と雇用、不平等、気候変動など17項目が定められているが、実は大麻ビジネスはこれらと密接に関連しているのである。

大麻は病気の治療などに使用される医療用、娯楽としての嗜好用、繊維や食品などに使われる産業用に分かれるが、医療用と嗜好用の大麻は「マリファナ」と呼ばれ、産業用は「ヘンプ」と呼ばれている。両者の違いは精神活性作用のある成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」の含有量にあり、通常THCが0・3%未満のものはヘンプ、それ以上のものはマリファナとなる。

22年1月現在、医療用大麻は47カ国、嗜好用は2カ国、産業用は約30カ国で合法化されている。米国ではマリファナは連邦法で禁止されているが(産業用のみ合法化)、州レベルでは医療用が36州で、嗜好用は18州で合法化されている。このように世界的に解禁が進む中で、大麻産業の持続可能性が注目されてきたわけだが、大麻が環境にやさしいことは以前からよく知られていた。

大麻の栽培は化学肥料や農薬をあまり必要とせず、生育中に大量の二酸化炭素を吸収してくれる。また、繊維や燃料、建築資材、紙、食品など広く使用されるヘンプは環境だけでなく、経済や社会、健康などの問題の改善にも役立つとされている。

本稿では、合法大麻産業の持続可能性を促進するためのさまざまな取り組みを紹介しながら、2030アジェンダの目標達成の可能性と同時に世界の大麻産業が今後、どのように変化していくのかを探ってみたい。

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