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DJ DARUMA & JOMMYの「BLACK PAGE」【8】

【DJ DARUMA & JOMMY】ジャンルを超越するヒップホップ進化論

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――ダンスフロアからの新たな刺客。DARUMAとJOMMYの画期的音楽探究。

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(写真/西田周平)

 今月は、先ごろアトランティック・ジャパンから移籍一発目となる新曲「Aquarius Heaven」を発表したばかりのラッパー、kZmが登場。旧知の仲であるダルジョミさんがいろいろとかわいがりを見せます。

DJ DARUMA(以下、D) メジャーデビュー、ってことになるの?

kZm(以下、k) 移籍であって、そんな意識ではないんですよね。今までの経験をもとに、個人でやるかどうするか考えてるときに声をかけてもらって。

D レーベルとの契約の決め手は?

k 結構な契約金を提示してもらい。

D そこだ(笑)。

k 目の前にチャンスが転がり込んできて、「やっとけばよかった!」と後悔するかもしれないなら、やるだけやって経験を積もうと思ってサインしました。

D YENTOWNとの関係性は?

k クルーとして在籍しながら、僕個人としては〈De-void*〉に所属、リリースはアトランティック、って感じです。

JOMMY(以下、J) どんな動きを予定しているの?

k 1st『DIMENSION』(18年)、2nd『DISTORTION』(20年)と続いているので、次が一応自分の中のオチがつけられるタイミング。今回はサウンドもだいぶ変わってると思います。

D MVにもお金をかけられるね。

k 確かに予算は増えました。ただ、宣伝バスを走らせても仕方ないんで、もっとクリエイティブな部分に使いたい。

J お、名言出たね。

――LDH(Love Drive Happiness)へのディスかもしれませんよ。

D バスはフレックスなんで(笑)。サウンドが変わってるって言ったけど、確かにkZmに限らず、最近の若いラッパーの音楽性は、どストレートなヒップホップから離れている印象は受けるよね。インディロックやハイパーポップ色が強まったというか。

k そうした若手にワクワクしてるんですよ。それに加えて舐達麻のような愚直なまでにストレートなヒップホップを掘り続けているラッパーもいる。そのバランスが保たれているから、僕らは外交に行けるんですよね。

J 実際、今はどんな感じのサウンドを好んで聴いてるの?

k 派手なシンセにレイヴィーな感じ。コロナでライブができなくなって、その時間をどう生かそうか考えたときに、ノリでクラブに遊びに行くんじゃなく、「自分が興味のあるパーティを探す作業」に重点を置いてみたんですよ。4つ打ちに興味があったけど、サブスクで聴いていただけじゃ現場のマナーもわからないじゃないですか。なので、そうしたパーティに足を運ぶことによって、音楽的に学ぶことがたくさんあった。もはやコロナはそのためにあったんじゃないかと思えるくらいの経験を積むことができました。

J 次のアルバムに影響が出そうだね。

k 新しいことに挑戦するのは、ファーストをリリースした頃から常に大事にしていましたからね。

J kZmのようにベースにヒップホップがあって、新しいスタイルやサウンドで盛り上がっているのを見ていると、新しい東京のストリートを感じるよね。

k 昔はファッション的にイケてるヤツはみんなヒップホップ、って印象だったんですけど、今は4つ打ちなのかな、とか感じることが多いんですよね。

D 今の新しい東京のスタイルは、ジャンル関係なしにイケてるヤツはみんなつながっていくイメージがある。

J 同世代のカルチャー的なつながりが、音楽を通して色濃く反映されてるもんね。ただ単に若者が好きでヒップホップやってるぜ、とは異なるカラー。

D 「東京のストリートってなんですか?」と聞かれたら、「こいつ(kZm)らです」って紹介できるもんね。ほかにもクリエイティブ・ドラッグ・ストアだったり、体現しているアーティストやクリエイターが自然と周囲に集まってきてる。でも、クリエイティブ・ドラッグ・ストアの面々って、最初はkZmっていうかkiLLa(※kZmを筆頭に、メンバーの大半が渋谷区出身のヒップホップ・クルー)が嫌いだったんだよね(笑)。

k っすね、仲悪かった(笑)。

D だからBIMたちに言ったんだよね、「アウトプットの仕方は違うけど、テンションはかなり近いものがあるから仲良くなると思うよ」って。しばらくしたらBIMから「……すげー仲良くなっちゃいました」って報告があってさ。

J 嫌いと言われてたkZmはどんな態度を取ったの?

k 僕は普通に話してたんですけど、BIMは斜に構えてくる感じで(笑)。でも、話していくうちにお互いがクルーのリーダー的存在で、同じような悩みを抱えていたというか。そこから一気に打ち解けて、今やクソマイメンです。

D 今、毎日が楽しいでしょ?

k 楽しいけど、それに慣れちゃうのが怖いんですよ。日々の生活にエフェクトは必要。なので、興味のあるパーティに遊びに行ってるんですけど、そこで面白いのが、ダルジョミ世代の人たちがフロアに戻ってきてることなんですよね。

D それって音楽の20年周期だと思うんだよね。僕も00年前後はkZmと同じような感じだった。だから、コロナがなければ20年後の今、kZmと同じ空間で普通に遊んでいたかもしれないんだよね。しかも21世紀を迎えるときって、ノストラダムスの大予言や2000年問題があって、世の中にはうっすらとした不安があったんだよ。だからこそ感情的なエピックトランスのようなサウンドが流行ったんじゃないかな、って思ってて。それが今のコロナの状況とも似ていて、明らかに聴く音楽のテンションに変化が起きた。それ以前はイケイケなサウンドがもてはやされてたけど、軒並みクラブが休業となって、フェスなんかも中止。それでエモいサウンドが流行し始めている。きっかけがコロナとは言い切れないけど、若者の心理や音楽の方向性にも、確実に変化が現れたと思うんですよ。

k 言われてみれば、確かにそんな気がする。ちょっと鳥肌立っちゃった。

J ちなみにkZmから見て、今の東京の面白さって何だと思ってる?

k ヒップホップが盛り上がってるけど、終わりも見えてきているような気がしているんです。さっきも話したように、これまではイケてる連中はヒップホップのクラブに集まる文化だったと思うけど、今はそうじゃない。ただ、ヒップホップが持つ多様性、良い意味での雑さ、他分野のいいところをすべて取り入れて形にするのが東京のヒップホップの面白さなんじゃないかな、とも思ってて。

J 早くパーティを再開したいよね。俺らのイベントに遊びに来て、「この曲チェックしとけよ!」とか言いたいもん。

――kZmくんはもともとハウスやテクノは「超嫌いなジャンル」だったはずですが、だいぶ変化が起きたんですね。

k 正直、楽しさがわからなかったんですよ。「みんなクネクネしてるだけで、どこで盛り上がんねん!」って思ってたけど、なんかサウナっぽいな、って(笑)。

D フロアでととのってる、みたいな?

k 忍耐強い人に向いているというか、ジワーって効いてくる感じ。マナーを学んでからは、めっちゃ楽しんでます。……って、なんだか今日、ダルジョミさんとおしゃべりに来ちゃっただけみたいになってません? 大丈夫ですか?(笑)

D むしろ遊びたい欲が高まったよ。

k 2人とも現場に出たら泣いちゃうんじゃないですか、感極まって。

J もう1年以上、現場には出てないからね。泣きはしないかもしれないけど、12時過ぎたら眠くなっちゃうんじゃないかな、って不安はある(笑)。

(構成/佐藤公郎)
(写真/西田周平)

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(写真/西田周平)

kZm(カズマ)
1994年、東京都生まれ。ヒップホップ・クルー〈YENTOWN〉に所属するラッパー。2018年のソロ・アルバム『DIMENSION』を皮切りに、これまでに自身の作品のリリースはもちろん、数多くの客演もこなす。今年4月にはワーナーミュージック傘下のアトランティック・ジャパンと契約を交わし、新曲「Aquarius Heaven」を発表。
Twitter〈@kazuma9393
Instagram〈kzm9393

DJ DARUMA(DJだるま)
ヒップホップの魂を持って世界各国のダンスフロアをロックするDJ/プロデューサー。DJ MAARとのユニット〈DEXPISTOLS〉として、EXILE HIROの呼びかけによって集結したユニット〈PKCZ®〉のメンバーとしても活躍。
Instagram〈djdaruma

JOMMY(じょみー)
10代からストリートダンスを始め、東京のダンスシーン/クラブミュージックシーンを牽引する存在。〈DJ DARUMA & JOMMY〉として、2019年からスタートした新世代ハウス・パーティ『EDGE HOUSE』のレジデントも務める。
Instagram〈jommytokio

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