『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(日本経済新聞出版)
――日本では「おじさんのSNS」と揶揄されても、フェイスブックそのものはGAFAの一角をなす先進的な企業だ。だけど、どうして日本だけではなく、世界的におじさん化しつつあるの?
本文でも見てきたように、日本におけるフェイスブックは若者たちが逃げ出すほどの、おじさんたちのマウンティングの場という認識が一般化しつつあるが、そもそもフェイスブックというプラットフォームは当然ながらおじさんだけではなく、すべての性別にやさしい。
例えば、日本版のフェイスブックで自身の性別を選ぶ際に、男女以外に「カスタム」という選択肢があり、自身の思うジェンダーを打ち込むことができるが、他方でアメリカ版のフェイスブックの性別欄にはすでにLGBTQのすべての性別に配慮して、「Non-binary(両性が混合または中間的、もしくはまったく違うものを感じているセクシュアリティ)」や「Agender(無性別者)」など、58種類の選択肢がプリセットされている。
また、日本だと女性ユーザーはフェイスブックの雰囲気に耐えられずに、インスタグラムへと移行しているが、フェイスブックの最高執行責任者(COO)であるシェリル・サンドバーグは『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(日本経済新聞出版)でも知られるように、女性の社会進出を主張する人物である。彼女がいたことでフェイスブックは「#MeToo」や「Black Lives Matter」といった社会運動で、重要な役割を果たせたともいわれている。
このように、運営側のダイバーシティへの配慮は、ほかのSNSよりも相当強いはずなのだが、それでも、なぜおじさんばかりになってしまったのか……。運営側の意識の高さと、ユーザーとの間に大きなズレがあるように思われる。