サイゾーpremium  > 連載  > 友清哲のビールの怪人【25】/【秩父麦酒】の偉大な挑戦!

――すべてのビール党に捧ぐ、読むほどに酩酊する個性豊かな紳士録。

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樽で寝かせたバレルエイジドビールをはじめ、「ビールの固定観念を捨て、どんどん新しいチャレンジをしていきたいですね」とにこやかに語る丹さん。

 埼玉県秩父市といえば、酒蔵やワイナリーを複数抱える土地柄であり、さらに最近では、秩父の蒸留所で生産されるウイスキー、「イチローズモルト」が世界的に有名だ。そこへ来て、クラフトビールの醸造所まで誕生したのだから、秩父は今や知る人ぞ知るお酒の王国になりつつあると言っても過言ではないだろう。

 秩父市・吉田地区に秩父麦酒が創業したのは、今から3年前のこと。ただし、仕掛人である丹広大さんは、埼玉ではなく函館生まれの道産子である。それがなぜ、地縁のない秩父でクラフトビールを手掛けることになったのか? ひもといてみると、その半生が実におもしろい。

「函館で高専を卒業して以来、ずっと土木業一筋で、全国の災害現場の復旧作業や橋梁設計、高速道路の補修などにあたっていました。ところが、心のどこかでずっと、業界のしがらみになじめずにいる自分を感じていて、27歳の時に思い切って会社を辞めることにしたんです」

 お酒はもともと大好きだったが、「安酒を一晩で何本も空ける、いかにも土建屋らしい飲み方をしていました(笑)」と振り返る丹さん。それでも興味が高じ、本業のかたわらバーや飲食店でアルバイトをしていた時期もあり、それがお酒に関する知見を深めるきっかけになった。

 そこで、ひとまず地元の飲食店で働き始めた丹さんだったが、ある日、人数合わせで呼ばれた合コンで運命的な出会いを得る。

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