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第2特集
“新型コロナ報道”の正しい読み方【3】

ZoomよりもFaceTime、生出演5万円~……ワイドショー“3密”現場の最前線

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――新型コロナウイルスの感染拡大により未曾有の危機的状況に陥っているのが、いわゆる“3密”環境での業務が大半を占めるテレビ業界だ。スタジオは秘匿性や音漏れ防止を優先した換気の悪い密閉空間、収録中の現場には演者、スタッフのみならずさまざまな関係者が集う。そんな現場ではどのような形で制作業務が行われているのだろうか?

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メインキャスターの感染者が発覚した『報道ステーション』の公式HPより。

 3密条件を満たしやすいテレビ番組の制作現場では、ほとんどのキー局で新型コロナ感染者が発生。テレビ朝日に至っては、局の看板報道番組ともいえる『報道ステーション』のメインキャスター・富川悠太アナの感染まで明らかになった。同局に出入りしている番組制作会社スタッフは語る。

「富川さんはプロ意識も高く、自分の立場も考えて、感染しないよう、それなりに警戒していたと思います。ただ、番組収録現場でもマスクを着けていないスタッフの姿が目立っていましたし、女子アナの中には婚活目的の飲み会に参加していた者もいたようです。まあ、折からのテレビ不況に加えて、“新型コロナショック”ですから、女子アナにしてみれば早く玉の輿に乗って安定したセレブ生活を送りたいのかもしれませんが(笑)」

 もっとも、同局に対するこうした手厳しい声がある一方で、「どこの局もそう大差はない」といった意見もある。

「テレ朝さんに限らず、どこの局も新型コロナの影響で報道番組やワイドショーの視聴率は好調ですからね。当初は番組内で散々その危険性や自粛を訴えながらも、現場のノリとしては“対策よりも視聴率”とばかりにイケイケな感じではありましたよ。スタッフに対するマスク着用の指示も、厳格化はされていなかったですしね」とは民放他局の報道番組スタッフ。だが、潮目が変わったのが4月7日の政府による緊急事態宣言の発令だ。

「緊急事態宣言の前日に、NHKや日本テレビ、TBS、テレビ東京などが番組の収録やロケの一時休止を発表したのは、政府の意向を事前にキャッチし、宣言に合わせた格好です。そしてこのタイミングから一気に、新型コロナに対する現場の雰囲気も変わりました」(前出の民放テレビ局編成担当)

 普段は局員以外にも多くの関係者が出入りしているテレビ局だが……。

「NHK、民放キー局ともテレビ局には入り口が複数あるものですが、緊急事態宣言後はどこも防災センターの1カ所に限定。入館の際、マスクをしていないとその時点でNGです」(同)

 各局とも入館時には検温を行っているが、「ウチの局の場合、最初の頃は検温だけだったのが、その後に検温&サーモグラフィになり、最近はサーモグラフィのみという状況です。検温はさすがに人手と手間がかかるし、そもそも『体調面に不安を感じた人は局に入る前に自宅で体温を測ってくるはず』という前提もあっての判断だと思います。たとえ生放送の番組の出演者でも、当然のことながらサーモグラフィで引っ掛かった時点で、出演はおろか入館すらできませんからね」(同)とのこと。

 局内の景色も“3密”対策のため、 「フロアについては対面で座るのがNGで、基本的に横並び」(同)など、かなり様変わりしている。そんな中でも変化が最も顕著なのが会議だという。

「例えば平時30人くらいが参加する会議だと、実際に会議室にいるのは3人くらいで、残りの27人は局内の別の場所や自宅からテレワークで参加。ツールとして『Microsoft Teams』を使っていますね。そもそもウチの局は2年くらい前からメールの代わりに『LINE WORKS』を使ったり、1年くらい前から紙の無駄遣いを避けるという名目でクラウドストレージサービスの『Box』を使うことが推奨されていました」(同)

 最近の報道番組や情報番組では一部の出演者によるリモート出演が当たり前になっているわけだが、前出の報道番組スタッフは、その舞台裏をこう明かす。

「リモート出演は、出演者の自宅か会議室など、局内のスタジオ以外の場所、あるいは局の関連施設の建物の中から出演してもらうケースが大半です。出演者の自宅からリモート出演してもらう場合、ビデオ通信アプリの『FaceTime』を使うケースが多い。『Zoom』はシステムの脆弱性により、乗っ取りや割り込み、盗聴といったリスクを恐れて、最近は避ける傾向に。どの出演者にリモート出演してもらうかは、プロデューサーとチーフディレクターが話し合って決めるのですが、そもそもリモート出演の回線数には限りがあるので、それを割り振るのも仕事になっていますね」

 その上で、こう続ける。

「自宅からのリモート出演だからといって、ギャラが変わることはありません。出演者にしてみれば移動などの手間は省けるでしょうけど、番組サイドからリモート出演をお願いしている立場なので『ギャラを安くしてくれ』とはさすがに言えませんよ。それでも、リモート出演を嫌がる人は結構いますね。最大の理由は『うまくできるのか?』という不安感です。『FaceTime』の使い方などはこちらが事前に電話などでレクチャーしますが、報道、情報番組においてはよほどの大物出演者でもない限りスタッフが自宅に出向くことはほぼないので、ツールを使い慣れていない人は不安なのでしょう。また、リモート出演の場合はイヤホンを使うことになるのですが、雑音が入ることも多いようで『音声が聞き取りにくい』という意見も多いんです」

 緊急事態宣言の発令以降、大きく様変わりしたテレビの現場だが、そうした環境下にあって活躍が目立つのが、新型コロナに関する専門的な知識を持つ有識者会議のメンバーや学者、大学教授、医療関係者だ。中には週刊誌によるネガティブな報道がありながら、その後も変わることなく局をまたいで番組に出演し続けている大学教授の姿もあるが……。

「基本的には番組の担当ディクレターが識者の候補を挙げて、プロデューサーが最終的に判断するという流れです。ただ、新型コロナに関しては未知の部分も多く、公の場で持論を語るリスクを恐れてテレビ出演に消極的な方もかなりいます。その一方で、ただ新型コロナに詳しいというだけでなく、番組制作サイドの意図を理解し、柔軟に対応してくれて、素人にもわかりやすく解説してくれる人じゃないと起用できない。例えば、今のご時世にあって『新型コロナなんて怖くない!』『みんな過敏になりすぎだ!』なんて持論を声高に主張されても、それが結果的に正しかったとしても、現状の番組編成的には不向きでしょう。新型コロナに関する報道は影響力も大きく、非常にセンシティブなものなので、知名度やギャラよりも、そうした“空気”を読める能力が問われることになります」(同)

 その結果、テレビに映る顔ぶれがほとんど“お決まりのメンツ”になっているというわけだ。ちなみに、新型コロナの影響により一躍時の人となった識者たちだが、「ギャラに関しては『文化人扱い』なのでそれほど高くはありません。生出演で5~10万円、コメント出演で3~5万円といったところです」(同)とか。

 前例のない非常事態により、業務形態の変化やさらなるIT化など、さまざまな影響を受けているテレビ業界。

「各局ごとに内々のルールこそ決められていますが、ハッキリ言って今行われている自粛のやり方が正しいかどうかも定かではないですからね。新型コロナの被害が拡大すれば『出演者も全員マスクを着用しろ』となるかもしれませんし、番組のメインMCも含めてほぼ全員がリモート出演なんてことになれば、『そもそもテレビで番組をやる必要があるのか? もうネットでいいのでは』という話にもなる。それにこの事態が収束したからといって、安心できるとは限らない。テレビの在り方、そして存在意義という点では3・11東日本大震災の時以上の脅威を感じています」(前出の編成担当)

 未知のウイルスとの戦いは業界に想像以上に暗い影を落としている──。以降、識者らの言説により、“脅威”を報じるワイドショーや報道番組の“見方”を検証してみたい。

(取材・文/編集部)

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