サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > YouTuberが教育界に与える衝撃【1】/【教育系YouTuber】の脅威
第1特集
YouTuberが教育界に与える衝撃【1】

学校教師や塾講師の“敵”なのか――オリラジ中田が授業を代行? 教育系YouTuberの脅威

+お気に入りに追加

――今年に入って、「中田敦彦のYouTube大学」というチャンネルが多くの誤りを指摘され、炎上することがあった。しかし、彼は今や人気YouTuberであることは疑いなく、ほかにも数々の“教育系YouTuber”と呼ばれる者たちが支持を集める。では、こうした存在は学校教師や塾・予備校講師にとって脅威なのか――。

2005_P058-061_kyouiku_img001_320.jpg
「中田敦彦のYouTube大学」のチャンネル登録者数は204万人(4月初頭時点)。この「【世界史(8)】イギリスの裏切りの果てでガンディーが愛を叫ぶ!  近代の中東とインド【2019版】」は“間違い”を多々指摘された動画のひとつ。最近は「世界を変えた感染症の歴史」といった動画もアップする。

 オリエンタルラジオ・中田敦彦が歴史や政治、社会情勢などを解説するチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」。その動画は平均数十万回、多いものだと100万~200万回も再生されている一方、歴史の動画をはじめとして間違いだらけだと各方面から指摘され、炎上した事件は記憶に新しい。

 中田以外にも、左ページのような“教育系YouTuber”が人気を集めている。例えば、「予備校のノリで学ぶ『大学の数学・物理』」チャンネルのヨビノリたくみ、世界史・日本史を教える「Historia Mundi」チャンネルの山﨑圭一はYouTube上で人気なだけでなく、出版した本もベストセラーになっている。

 2018年2月2日にAbemaTVの番組『AbemaPrime』に出演した教育ジャーナリストの後藤健夫氏は、教育系YouTuberの台頭により「予備校は厳しくなっていくのでは」とまで語っていた。では実際のところ、学校教師や塾・予備校の講師、学習参考書に携わっている人たちは、教育系YouTuberについてどう見ているのだろうか――。

教師が学校で講義する必要はなくなるのか?

2005_P058-061_kyouiku_img008_320.jpg
たくみ著『難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!』、山﨑圭一著『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた』(共にSBクリエイティブ)はベストセラーになった。

 まず今回、複数の中学・高校教師に取材した印象では、「間違いを教えるのでなければ、学校教育を補完してくれるものになりうるから、特に気にしていない」というのが基本線だった。そもそも現場教師は忙しいため、自分で積極的に見る人間は少数派のようだ。もちろん、数学教師がヨビノリたくみをチェックしたり、大学では日本史を専攻したのに世界史を教えることになった教師が教科書準拠でわかりやすい「Historia Mundi」を参考にしたりするケースもあるにはある。ただし、視聴者需要が高いだろう英語の教育系YouTuberに関しては、英語教師たちから次のような反応があった。

「発音の参考にはなるでしょうし、身近さがあって『自分でもできそう』と見る側は思うのかもしれません。でも、『学校英語は使えない』とか、教科書や参考書を揶揄しながら『ネイティブはこんなこと言わない』とかマウンティングをYouTuberたちはしがちなので、教師側のウケは良くない」(高校教師A氏)

「TOEIC対策や中学英語に関しては人気チャンネルがありますが、高校英語については教科書準拠のものや、受験英語に特化したものを配信する有力なYouTuberはいない」(高校教師B氏)

 ちなみに、最近の参考書や問題集は、購入すると解説動画が無料で見られるものが少なくない。また、予備校では教育系YouTuberが台頭するはるか前からサテライト講義(動画授業)が存在しており、スマートフォン普及以降はリクルートが提供する授業動画サービス「スタディサプリ」などがすでにあった。そのため、“無料”という点を除けば、動画で講義を配信することには教師たちは特に目新しさを感じていないようだった。

 岐阜県の公立高校で地理・歴史科目を担当する教師であり、共著に『教師のブラック残業』(学陽書房)がある斉藤ひでみ氏も多くの教師と同様、熱心に教育系YouTuberを追っているわけではないという。そこで、前述のような人気のチャンネルをいくつか視聴してもらったところ、斉藤氏は次のように話した。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年5月号

新タブー大全'21

新タブー大全'21
    • 【森発言は女性差別?】高齢者座談会
    • 広がる【陰謀論とGAFA】の対応
    • 【Qアノン】の主張
    • ビジネス的な【福音派】の布教
    • 【ザ・ボーイズ】が描く福音派
    • 【反ワクチン運動】の潮流
    • 取り沙汰されてきた【ワクチン4種】
    • 【メガIT企業】が触れたタブー
    • 【民間PCR検査】の歪な構造
    • 【NHK】に問われる真価
    • 【テレ東】が身中に抱えた爆弾
    • 【キム・カーダシアン】の(危)人生
    • 【仰天修羅場】傑作5選
    • 月収12万でアイドルが【パパ活】
    • 【パパ活】の背景にある雇用問題
    • 金融の民主化【ロビンフッド】の闇

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る
    • 【小川淳也】政治とコロナと与野党を語る

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【朝日ななみ】新人役者は“嫌われるほど悪い役”を目指す!
    • 【はるかりまあこ】新風を巻き起こす三人官女のサウンド
    • 【SILENT KILLA JOINT & dhrma】気鋭ラッパーとビート職人
    • 【松居大悟】自身の舞台劇をどのように映画化したのか?
    • 【BOCCHI。】“おひとりさま。”にやさしい新人7人組

連載

    • 【都丸紗也華】ボブ、マジ楽なんです。
    • 【アレンジレシピ】の世界
    • 【愛】という名のもとに
    • なぜ【AI×倫理】が必要なのか
    • 【萱野稔人】人間の知性と言葉の関係
    • 【スポンサー】ありきの密な祭り
    • 【地球に優しい】企業が誕生
    • 【丸屋九兵衛】メーガン妃を語る
    • 【町山智浩】「ノマドランド」ノマドの希望と絶望
    • 【総務省スキャンダル】と政府の放送免許付与
    • 【般若】が語った適当論
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【田澤健一郎】“かなわぬ恋”に泣いた【ゲイのスプリンター】
    • 【笹 公人】「念力事報」呪われたオリンピック
    • 【澤田晃宏】鳥栖のベトナム人とネパール人
    • 【AmamiyaMaako】イメージは細かく具体的に!
    • 【稲田豊史】「大奥」SF大河が示した現実
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 伝説のワイナリーの名を冠す【新文化発信地】
    • 【更科修一郎】幽霊、ラジオスターとイキリオタク。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』