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第1特集
洗練されすぎた「ジャンプ」のエロ【2】

“友情・ 努力・勝利”より“エロ”こそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選

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――「ジャンプ」の50年を彩った過去の傑作ラブエロコメをプレイバック!

【A】保守的なヒロイン像からの脱皮
『さわやか万太郎』

本宮ひろ志/1978~79年

友情・ 努力・勝利よりエロこそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選の画像1

 エクストリーム番長もので行き詰まっていた作者が『俺の空』から本番を抜き、「月刊少年ジャンプ」で連載していた番長青春ドラマの佳作『硬派銀次郎』と組み合わせた娯楽作。番長キャラが複数のスポーツで活躍する『ハリスの旋風』(ちばてつや)タイプの劇画系少年マンガに、もりたじゅんが描いていた少女マンガのラブコメ要素を加えていて、これを80年代ラブコメの文脈で描くと『ちょっとヨロシク!』(吉田聡)になる。許嫁(!)のヒロインが大和撫子の黒髪ロングお姫様なのに、主人公の相棒としてスポーツでも予想外に活躍するという設定が、70年代少年マンガの保守的なヒロイン像から少しだけズレていて、ラブコメ黎明期には斬新だった。

【B】高い画力で描き切る“ラッキースケベ”
『いずみちゃんグラフィティー』

金井たつお/1980年

友情・ 努力・勝利よりエロこそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選の画像2

 本宮ひろ志のアシスタント出身ながら、もりたじゅんの美少女キャラに着目していた作者が、ゴルフマンガ『ホールインワン』でパンチラ描写が評判となったことから、学園美少女ラブコメに挑戦した作品。フェチ要素も含め、エロコメ定番のラッキースケベ展開を高い画力で描いたのは斬新だったが、物語的にはハレンチギャグと70年代劇画系少年マンガの枠内にとどまっていたため、長期連載にはならず、あだち充と高橋留美子に象徴される新世代ラブコメの波にのまれてしまった。劇画にラブコメ要素を盛り込む方向性自体は、80年代の青年誌で『裂けた旅券』(御厨さと美)などが模索されたが、これも少年マンガの画力向上で存在意義を失ってしまう。

【C】乃木坂主演でまさかのテレビドラマ化
『電影少女』

桂正和/1989~92年

友情・ 努力・勝利よりエロこそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選の画像3

 特撮ヒーロー風コメディ『ウイングマン』のヒット後、マニアックなオタク的センスが災いし、不振続きだった作者がSF青春ラブコメへ転向。リアルで繊細な心理描写が高く評価されたが、一般的には「パンツのしわまで描く」超絶画力のソフトコアポルノ描写で人気だったため、前記事で言及した青春リアリズム3大トラウマラブコメの中でも連載期間が最も長かった。90年代後半にはSF要素を排した『I”s』も長期連載となったが、00年代以降は本来のマニアックなセンスやアメコミ趣味を軸とした作風へ移行している。その一方で、かつての読者が企画の実権を握ったのか、2018年から19年にかけて深夜ドラマ化される珍事が起きた。

【D】『幽☆遊☆白書』より前に生まれた冨樫の佳作
『てんで性悪キューピッド』

冨樫義博/1989~90年

友情・ 努力・勝利よりエロこそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選の画像4

『HUNTER×HUNTER』で現在もジャンプの巨匠である作者の初連載。同時期の『電影少女』と比較されるほど美少女キャラの裸が多く、読者人気も悪くはなかったが、前記事でも言及した通り、次第に作者の冒険活劇志向やサブカル趣味と、過去のラブコメから集めた設定の齟齬が生じるようになり、ジャンプ的には微妙な長さである「4巻」で終了する。次作『幽☆遊☆白書』もオカルトコメディとして始まったが、まるで『デビルマン』のように少年マンガ的世界観を自壊させる暴走を経て、ゲーム感覚のハードバイオレンス異能バトルという独自の作風を確立していく。エロコメが出発点ということも含め、まさしく永井豪の後継者といえるだろう。

【E】“本番禁止”の掟を逆手に取ったエロ技巧
『To LOVEる ―とらぶる―』

矢吹健太朗(脚本:長谷見沙貴)/2006~09年

友情・ 努力・勝利よりエロこそ真骨頂! 「少年ジャンプ」のラブエロコメ傑作選の画像5

 正統派の異能バトルもので長期連載&アニメ化されたが、ストーリーが弱く地味なマンガ家と評されていた作者がエロコメへ転向。少年マンガ誌における本番禁止の原則を逆手に取り、さまざまなシチュエーションのラッキースケベ「だけ」が延々と繰り返される、ミニマル・ミュージックのような異様な作風で評判となった。高い画力を生かした下着や裸の描写は単行本では修正が外され、ジャンプスクエアで7年間の長期連載となった続編『ダークネス』では騙し絵まで駆使するなど、究極のソフトコアポルノとしてネット上で話題を呼んだが、一方で福島県からは有害図書指定され、海外では購入年齢制限や再修正が行われるなど、物議も醸している。

【F】レース型ラブコメの傑作が竜頭蛇尾に
『ニセコイ』

古味直志/2011~16年

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 この作者も異能バトルものからラブコメへ転じたが、画力&エロコメ志向の『To LOVEる』とは違い、異能バトルの演出技法を生かした鞘当てレース特化で長期連載となった。しかし、粗暴な正ヒロインよりも貞淑なサブヒロインに人気が集まり、『ひばりくん』『てんで性悪』の「やくざの息子が小悪魔系美少女に振り回される」と『いちご100%』の「運命の人」を組み合わせたジャンプ伝統のパターンも足かせとなっていく。連載後半のマンネリ化と正ヒロインルートの強引な展開で大団円も祝福されず、寂しい完結となった。実質的後継作の『ぼく勉』は本作の構造問題をクリアした上で始まったはずだが、別の問題が生じているのは前記事の通り。

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