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萱野稔人と巡る超・人間学【第8回】

萱野稔人と巡る【超・人間学】――「人間の本性としての暴力と協力」(後編)

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(前編はこちら)

――人間はどこから来たのか 人間は何者か 人間はどこに行くのか――。最先端の知見を有する学識者と“人間”について語り合う。

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(写真/永峰拓也)

今月のゲスト
川合伸幸[名古屋大学情報学研究科教授]

前号に引き続き、名古屋大学情報学研究科教授・川合伸幸氏と議論を展開。比較認知科学、実験心理学の知見が、人間の“暴力”の起源に迫る。

萱野 前編では、何が人類社会に集団的な暴力を生じさせたのか、という問題を考えてきました。人類がそれまでの狩猟採集社会から農耕社会に移行したことが、縄張りの概念を生じさせ、また富の蓄積を可能にした。それが人類社会に“組織化された暴力”を発生させたのではないか、という見立てでした。ここから考えると、人間の攻撃性や排他性というのは、食料や土地、あるいは生殖の対象である女性、といった有用な“資源”をめぐって他者と競合関係に入ることで強化される、といえるかもしれません。

川合 ヒトの攻撃性の進化は、まさに「資源を守る」という気持ちから生じてきたと考えられています。わかりやすい例だと、4歳児の女の子を対象に、どのような状況で“仲間はずれ”が起こるか調べた実験があります。この実験では、ぬいぐるみがふたつ以上あると女の子たちは皆で仲良く一緒に遊ぶのですが、ひとつしかない状況では、ぬいぐるみを手にした女の子を仲間はずれにする傾向があることがわかりました。資源を取り合う状況になれば、それを占有する子を皆で排除しにかかるということです。男の子の場合は仲間はずれではなく、直接ぬいぐるみを奪いに行くという行動に出ました。チンパンジーの研究からも推測されていますが、オス(男性)の攻撃性は、集団内の食料やメス、子どもという資源を守るために外集団に対して向けられる傾向があります。一方、メス(女性)の場合、資源の取り合いはほとんど集団の内部で起こる。これは原始の人類にも共通していたことでしょうし、その進化の歴史が男女の攻撃性の現れ方が違ったものになったと考えられます。いずれにせよ、攻撃性は資源の獲得がかかった状況で高まるといえます。

“仲間はずれ”に 痛みを感じる脳

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