関電裏金問題が今、弾けた理由
共同通信の一報によって明るみに出た関西電力経営陣への裏金問題。原発利権の巨大さや、行政までをも巻き込んだ一大スキャンダル。だが、なぜ当事者がこの世を去ったあと、今になって日の目を見たのだろうか? そこには、「メディアタブー」「検察タブー」そして「人権タブー」の存在があったという。
一連の事件を受け、お詫び文を掲載する関西電力HP。
関西電力首脳らが原子力発電所の立地する福井県高浜町の関係者から巨額のバックリベートを受け取っていた問題は、底なしの様相を呈している。大手紙の社会部記者が語る。
「9月26日深夜、共同通信が『関電会長らに1億8000万円』と特報し、口火を切りました。翌27日の朝刊各紙は、読売新聞を除く全紙が一斉に疑惑を報道。これを受けて関電の岩根茂樹社長が『過去7年間に幹部20人に3億2000万円』と記者会見で明かしました。今後の第三者委員会による調査次第では、リベート額が大きく膨れあがりそうです。しかも、立地自治体の福井県庁幹部にも金品が渡っていたことまで明るみに。対岸の火事と高をくくっていた新人知事の杉本達治氏も頭を抱えています」
今回明らかになったバックリベートの数々は、原発利権のすさまじさを一般市民に知らしめた。
高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から関電の八木誠会長や岩根社長ら20人に提供された3億2000万円の内訳を見ると、◆現金1億4500万円◆商品券6000万円相当◆金貨5000万円相当◆スーツ仕立券75着分3750万円相当◆金杯8セット350万円相当等――。
リベートの原資は、森山氏が顧問を務めた地元建設会社に対して支払われた関電からの原発関連工事費にほかならない。この原発マネーを元手に、長年に渡ってバックリベートが関電経営陣に次々とばらまかれるという、忌わしく悪習がやむことはなかった。「リベートはもらって当たり前」という企業風土が存在し、もはや公然とリベートが飛び交っていると言ってもおかしくないのだ。では、なぜ今日までこの悪弊は明るみに出なかったのか。在阪メディアの幹部が重い口を開く。