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税率の引き上げ延期は総選挙の争点とならない!?

すでにレジは10%に「増税前に選挙を」【安倍政権】の裏事情

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在任期間を延ばしたい安倍首相の思惑

2019年7月28日の任期満了に伴い、今夏中の実施が見込まれている参議院議員選挙。そこに衆議院の解散を当て込み、W選挙にする……という安倍政権の思惑が盛んに報道されているが……。なお、実際に衆参W選挙となれば1986年以来で、33年ぶりの事態に。

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会計ソフトを取り扱う企業のウェブサイトでも10%をPR。

 永田町に“解散風”が吹いている。菅義偉官房長官と親しい大企業の経営者は、菅官房長官と会食をした時に「安倍晋三首相は、衆議院を解散し、衆議院・参議院の同日選挙(衆参同日選挙)に打って出るつもりだ」という話が出たという。

 安倍首相自身も5月30日、経団連(日本経済団体連合会)の定時総会でのあいさつで、この解散風について触れ、「風という言葉には今、永田町も大変敏感だ。ひとつだけ言えるのは、風というものは気まぐれで誰かがコントロールできるようなものではない」と述べている。

 衆議院の解散権を持っている首相としては微妙な発言だが、10月からの消費税率引き上げを見据えた場合、衆議院の解散の大義がどこにあり、何が総選挙の争点になるのかも微妙な情勢であることも、また確かだ。

 米中貿易戦争の影響も相まって、「世界経済が減速するのではないか」という懸念が台頭している。日本においても、さまざまな経済指標で景気悪化を示唆するような結果が出ており、増税に依る景気減速への懸念が高まってきている。

 4月18日に自民党の萩生田光一幹事長代行が、日銀が7月に発表する短観(全国企業短期経済観測調査)の内容次第では、「消費税増税の延期もあり得る」という認識を示し、物議を醸した。萩生田幹事長代行は、「増税をやめることになれば、国民の信を問うことになる」と衆議院の解散・総選挙にまで言及した。

「この点を考えれば、『10月からの消費税率引き上げの再延期』は、衆議院解散の大義となり、総選挙の争点となる。当然、消費税率の引き上げ延期は、国民の支持を得ますよね。だから、消費税率引き上げの延期を選挙の争点としたほうが、自民党が選挙に勝つ確率は高くなると考えるのが筋でしょうね」(経済誌記者)

 しかし菅官房長官をはじめ、政府首脳は、「リーマン・ショック級の危機が起こらない限り、消費税率の引き上げは実施する」とのスタンスを崩してはいない。6月3日には、麻生太郎副総理兼財務大臣が、仮に消費税率の引き上げを延期した場合には、日本国債の格付けが下がる可能性があると指摘。消費税率引き上げ延期の思惑を強く否定している。

MEMO『増税』
日本の消費税は、2019年10月1日に10%に引き上げられる予定となっている。実行されれば、政権への支持率が爆下げとなることも自明だが……。

 では、なぜ消費税率の引き上げ延期は総選挙の争点とならないのか?

「消費税率が5%から8%に引き上げられたときと、10%に引き上げられる今回とでは、同じ税率の引き上げでも大きな違いがあります。それは、安倍首相の指示により実施が決定した消費税率引き上げの影響を緩和するための措置が関係しているんです」(同)

 要するにこういうことだ。例えば、消費税率が変更されれば、店頭にある商品の値段の表示はもちろん、会計の際のレジスターの計算方法、伝票や帳票の類まで手直しが必要になる。

 その上、今回の消費税率引き上げでは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」については、消費税を8%のまま据え置く「軽減税率」が導入される。このため、企業には消費税が「10%の品目」と「8%の品目」に分けて経理処理する必要があるのだ。

 そこで読者は最近、コンビニエンスストアのレジスターが新しいものに入れ替わっていることに気づいているだろうか? コンビニでは、飲食料品とそれ以外の商品が混在して販売されている。顧客が購入するものも、飲食料品とそれ以外の商品が混ざっているため、この会計を8%と10%の2つの消費税で行う必要があり、それに対応したレジスターが必要なため、「複数税率対応レジスター」の入れ替えが行われているのだ。

 同時に、売り上げ集計、商品の仕入れなどに係る伝票類はもとより、「受発注システム」や「経理処理システム」などの手直しが発生する。加えて、クレジットカードや電子マネーなどでキャッシュレス決済をした場合、引き上げられる消費税2%分をポイントで還元し、その分を政府が補助するという仕組みが導入される。当然、こうしたシステムへの対応も必要となってくる。

 さらに、4年後の2023年10月1日より“インボイス制度【1】”が導入される予定だ。同制度は、例えば、仕入れを消費税率10%で行ったにもかかわらず、消費税率8%で販売し、消費税2%分を安くすることで納税額を少なくごまかすといった不正を防止するための措置でもある。当然、この制度が導入されれば、それに対応した「受発注システム」や「経理処理システム」などの手直しが発生することになる。

 つまり、この期に及んで消費税率引き上げを延期するのは、すでに消費税率引き上げに向けた準備が着々と進んでいる中で、あまりにも反発が大きく、消費税率引き上げ延期が選挙での敗因となる可能性まである。「もし、消費税率の引き上げが延期されれば、大量の在庫を抱えることになり、経営の大きなダメージとなる。その場合には、行政訴訟も辞さない」と、ある大手レジスターメーカーの幹部が息巻くように、会計や経理、企業の受発注システムに関連したメーカーやシステム関連企業にとっては、消費税率引き上げ延期は“死活問題”ともなり得る。従って、消費税率の引き上げ延期は、衆議院解散の大義や総選挙の争点とはなりづらいということだ。

 では、なぜ安倍首相は、衆議院を解散し衆参同日選挙に打って出ようとしているのだろうか。野党幹部が解説する。

「消費税率が引き上げられれば、景気が落ち込むことは過去の消費税引き上げ後の景気の動向を見ても明らかだ。消費税率引き上げ後の選挙となれば、消費税率引き上げが自民党に不利に働く。だから、安倍首相は“消費税率引き上げ前”に衆議院選挙を行ってしまいたいのだろう」

 さて、では衆参同日選挙の日程として、いつが有力なのか。夏の参議院選挙は、参議院の改選議員の任期満了が7月28日となるため、公職選挙法に照らし合わせて考えた場合、6月26日の国会会期末を待たずに衆議院を解散した場合には7月14日、国会会期末に衆議院を解散すれば7月21日が有力だ。もし、国会の会期延長を行った場合には、7月4日までに衆議院を解散すれば7月28日に、その後の解散であれば8月4日になる可能性が高い。

 ちなみに、野党内では、「6月19日(予定)の党首討論、28日からの大阪でのG20首脳会合あたりでの解散」が有力視されている。

 いわずもがな消費税率引き上げについては、安倍首相からは実施の最終判断がいまだに下されていない状態。最終判断がいつ行われるのかが、重要なポイントであることも付け加えておこう。

(鷲尾香一)

【1】インボイス制度
別名「適格請求書等保存方式」とも呼ばれる、請求書や納品書などの保存に関する新しい制度のこと。現在は「請求書等保存方式」が採用されており、取引先が発行した請求書等を保存しているが、インボイス制度になると、請求書類の記載内容がさらに細かくなる。適格請求書発行事業者の登録番号や税率ごとに合計した消費税額と税率の記載が義務付けられる。

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