サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > マンガ家【超高齢化】の哀楽

――「マンガ家は早死にする」そんな言説も今は昔。今や、70歳80歳になっても現役バリバリでマンガを描き続ける作家が増えている。超高齢社会に突入した日本において、「マンガ」に求められるものはどう変わっていくのか? 〈元〉マンガ編集者の〈元〉批評家・更科修一郎がその哀楽を眺める。

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『王家の紋章 第64巻』(プリンセスコミックス)

 週刊少年マンガ誌での最年長連載記録だった水島新司(79歳)の『ドカベン ドリームトーナメント編』が完結し、さすがに少年マンガ誌の作家陣に70歳台はいなくなったが、あだち充(67歳)、秋本治(66歳)、高橋留美子(61歳)、板垣恵介(61歳)も還暦を超えている。筆者が若い頃は手塚治虫(享年60)、藤子・F・不二雄(享年62)、石ノ森章太郎(享年60)と、トキワ荘系の大御所が次々と早逝していたので「マンガ家は生涯現役だが、早死にする商売だ」と思っていたのだが、やなせたかし(享年94)、水木しげる(享年93)が長寿だったことで、ようやくそうでもないことがわかった。いや、定年のないマンガ業界はいつの間にか超高齢社会になっていた。

 特に大御所マンガ家が執筆する「ビッグコミック」系列の青年マンガ誌は、『ゴルゴ13』『あぶさん』『浮浪雲』『三丁目の夕日』『釣りバカ日誌』……1970年代から続く大長寿連載が多かったので、現在もさいとう・たかを(82歳)を筆頭に70歳を超えたベテラン作家陣が支えている。ストーリーマンガ家の多くは作画アシスタントを使って描くプロダクション方式なので、設計図のネームを描くことさえできれば、執筆量は維持できるのだが、1話読み切りの短編を家内制手工業的に描いている作家は、体力的な問題から執筆ページ数を減らすなどの措置が必要になる。例えば、西岸良平(71歳)の『三丁目の夕日』は隔号連載(月1回)となり、『鎌倉ものがたり』は減ページで前後編になった。

 大御所のひとり、ジョージ秋山(75歳)は17年に『浮浪雲』が完結してから新作を発表していない。最終回近くは作画がヨレヨレで読者を心配させたが、完結の1年ほど前からアシスタントを徐々に減らし、最後はほとんどひとりで描いていたようだ。とはいえ、退職金を積み立てるなど、福利厚生に気を使っていたことを元アシスタントがブログで回顧したり、放送作家の息子さんが東映と組んで『捨てがたき人々』『アシュラ』を映画化するなど、44年間の長期連載にふさわしい有終の美を飾ったといえよう。

小学館の忘年会で見た長寿作家専用特等席

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