サイゾーpremium  > 連載  > 伊藤文學の薔薇族回顧譚【3】/【薔薇族】刊行で去っていく友と、死を恐れぬ編集者
連載
伊藤文學の薔薇族回顧譚【3】

【薔薇族回顧譚】「薔薇族」刊行で去っていく友と、“死”を恐れぬ編集者

+お気に入りに追加

――日本初のゲイ雑誌「薔薇族」創刊編集長が見た、ゲイメディアの勃興とその足跡をたどる

1812_P113_HON_BL_300.jpg
「薔薇族」創刊号。同性愛を扱った読者の投稿作品に加えて、文通欄などがあり、同性愛者たちの投稿で盛り上がりを見せることとなった。

 1971年7月。マクドナルド日本一号店が銀座に作られたのと同じ頃に、日本初の男性同性愛者向け商業雑誌である「薔薇族」(第二書房)の創刊号(9月号)が刊行された。売り上げはまずまず好調で、創刊号は1万部刷ったうちの6000~7000部を実売。その後も部数は伸び続けていった。

「雑誌の中身の多くは、読者から募った投稿作品だった。例えば同性愛の体験記や悩みの相談、小説やイラストなんかの創作物とか。でも一番人気があったのは、やっぱり文通欄への投稿だよ。多いときは、全ページの半分が文通欄だった」

 当然ながらこの文通欄は、ゲイの男性が恋人や性交の相手、あるいは友人を探すために活用された。これは、「薔薇族」以前に発行されていた風俗雑誌「風俗奇譚」(文献資料刊行会)にも存在した仕組みである。今ではマッチングアプリが果たしている役割を、当時はこうした雑誌の文通欄が担っていたのだ。

 投稿文の内容は、今のマッチングアプリのそれとほとんど変わりがない。身長や体重、職業などを開示した上で、「童貞の青年求む」「老人が好きです」「自分と同じ銀行員だとうれしい」など、自分が相手に求める要望も添えた投稿者が多く見られる。

 読者は、やりとりをしたい人物を見つけたら、まずは版元である第二書房へと手紙を送る。それを伊藤やその妻が、手作業で転送するのである。送られてくる手紙は、最初は一日数十通だったがすぐに数百通、最盛期には一日1000通近くにまで膨れ上がったという。そのくらい、多くの同性愛者にとって心の拠り所になっていたということだろう。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年7月号

ヤバい本150冊

ヤバい本150冊
    • どうなる【出版業界】の諸問題
    • 【クラウドファンディング】ヤバい本
    • 【ネットの自由】を啓発する思想本
    • 【A-THUG×BES】の獄中読書
    • 識者が推す【ラップ】現代史選書
    • 【橘ケンチ×手塚マキ】読書の愉楽
    • 【椿原愛】Fカップ読書グラビア
    • ベストセラーを生む【書籍広告】
    • 【アジア移民文学】に見る差別の現実
    • 【世界の移民】たちが叫ぶ幸福論
    • 増加する【脱北者】文学
    • 【朝の読書】のイビツな思惑
    • ポリコレNGな【童話】の世界
    • 米国で【禁書】扱いされる童話
    • 【人間革命】本としての評価

乃木坂46・斉藤優里「7秒のしあわせ」

乃木坂46・斉藤優里「7秒のしあわせ」
    • 【斉藤優里】卒業記念写真集

インタビュー

連載

    • カバーガール/平嶋夏海
    • 【高崎かなみ】期待の新人モデル水着撮
    • 【川栄】ベイビー
    • 【Wi-Fi】の電波が人を安心させるサービスに
    • 【更科功】化石人類から見える人間の根源(後)
    • 高須基仁/後藤新平と大谷翔平の2大「平」が時代を切り開く
    • 罵声飛び交う【三社祭】の醍醐味
    • 過酷な中国受験戦争【教育アプリ】の進化
    • 【ゲーム・オブ・スローンズ】とヒップホップ党
    • 町山智浩/【ロング・ショット】ロマコメの最新系主人公
    • 【官邸】への権限集中が招く弊害と行く末
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人「念力事報」/トランプと接待バカ一代
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/『家族はつらいよ』後期高齢者向けポルノの戯論
    • 【処方薬でキマる】アメリカ薬物事情
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 伊藤文學/三島由紀夫に美輪明宏、薔薇族を彩った著名人
    • 幽霊、卑しき自己啓発本サロン商売。
    • 花くまゆうさくの「カストリ漫報」