サイゾーpremium  > 特集  > IT  > 第二のシリコンバレーの経済地理学【1】/テック系企業の【経済地理額】
第1特集
第二のシリコンバレーの経済地理学【1】

“第二のシリコンバレー”の経済地理学――テック系企業集積地が沿岸部に生まれる理由

+お気に入りに追加

――今、“第二のシリコンバレー”が世界各国で生まれている。中国の深センやイスラエルのテルアビブをはじめ、インドや台湾、スウェーデンやエストニアといった国々でもテック系企業集積地の台頭が目覚ましい。こうした新興都市の“地理的な要因”について、識者の言や研究書をひもときながら探っていく。

1811_P036-041_map1_520.jpg
(イラスト/小川泰)

 中国・深セン、インドのバンガロールやイスラエルのテルアビブ……これらの都市の名前を耳にしたことがある読者も多いのではないだろうか? ここに挙げた都市は「中国/インド/中東のシリコンバレー」と呼ばれるなど、テック系産業の新たな集積地として、ビジネスメディアを中心に取り上げられている。こうした“第二のシリコンバレー”は枚挙にいとまがなく、ほかにも台湾・新竹やフィンランドのオウル、ドイツのベルリンやエストニアのタリンといった都市も挙がってくる。一方、日本ではかつては渋谷が「ビットバレー」などと呼ばれたこともあったが、現時点では世界から注目を集めるような新興地域は現れず、これら地域の後塵を拝しているというのが実情だ。

 こうした中で、日本も追いつけ追い越せと言わんばかりに、“第二のシリコンバレー”勃興の理由を分析する記事が数多く生み出されている。そこで本稿では、“第二のシリコンバレー”と呼ばれる都市や地域の地理的な側面に注目しながら、その発展の背景に迫っていきたい。

 まず前提として、こうした地理的な条件に鑑みた上での経済現象を研究する学問は、一般的に「経済地理学」と呼ばれている。また、より大きな枠組みでいえば「地政学」的なアプローチともいえるかもしれない。こうしたアプローチは古くから存在し、例えばスイスの時計産業発展の要因として、精密機器製造にあたって重要となる、同地の豊富な水資源の存在が指摘されている(もちろん、そのほかの歴史的な要因も存在する)。また、“東洋のスイス”とも呼ばれる長野県諏訪市は、澄みきった空気と豊かな水資源をうたい、時計やカメラ、レンズといった精密機器の製造業が栄えてきた。ほかにも、洗浄の必要性などから、半導体産業は水資源を大量に必要としており、裏を返せば、潤沢な水資源にアクセスしやすい地域であれば、そこを“半導体産業が発展しやすい地域”と呼ぶこともできるだろう。

 こうした地理的な特性を中心に、近年増加の一途をたどる“第二のシリコンバレー”群を眺めることで、各都市に関する新たな視座を見いだすことができれば幸いである。

インドが発展した理由はシリコンバレーとの時差?

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2026年11月号

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界
    • 「沼化」するエンタメ業界
    • 膨らみ続けるグラビア市場
    • SNSがつくる「あなたの好み」
    • 映画界ハラスメントの実態
    • ゲーム実況者の高齢化問題
    • PS、ディスク販売廃止の衝撃
    • 私たちは「ドパガキ」なのか
    • AI時代の「生歌」の価値
    • 「ニコ生ホラー」とは何だったのか
    • テクノロジーが広げる学びの未来
    • AI時代のサイバー攻撃
    • リングを彩る美女たち
    • 〈Cosplay beauty〉もちむぎ

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 滝藤賢一、名バイプレイヤーの境地
    • 唯一無二の音楽家・水槽
    • 小八重葵美が得たもの

連載

    • [マルサの女]高橋凛
    • 神保哲生×宮台真司の「TALK ON DEMAND」
    • 萱野稔人と巡る「超・人間学」
    • ドクター苫米地に聞け!
    • 井川意高の天上夜想曲
    • 韮原祐介の匠たちの育成哲学
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • GROOVE SEQUENCE
    • 笹 公人×江森康之の「念力事報」
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」
    • 花くまゆうさく『カストリ漫報』
サイゾーパブリシティ