サイゾーpremium  > 連載  > 磯部涼の「川崎」  > 磯部涼の「川崎」/BAD HOPらが生々しく証言する書籍『ルポ 川崎』

 サイゾー誌上で2016年1月号よりスタートし、大いに物議をかもしたルポルタージュ連載「磯部涼の『川崎』」。連載自体は今年の春に終了したが、その内容を大幅に加筆した書籍『ルポ 川崎』が来たる12月15日に発売される。

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『ルポ 川崎』

 2015年、工業都市・川崎で相次いだ中1殺害事件や簡易宿泊所火災、老人ホーム転落死といった凄惨な出来事を記憶している人も多いだろう。本書は、編著『踊ってはいけない国、日本』(河出書房新社)などで知られる俊英の音楽ライター・磯部涼が、その街のラップ・ミュージックから少年犯罪、ヤクザ、ドラッグ、売春、貧困、人種差別までドキュメントした一冊だ。

 今年、大傑作『Mobb Life』を発表した人気急上昇中のラップ・グループBAD HOPをはじめ、A-THUG、DJ TY-KOH、KOWICHI、YOUNG HASTLE、友川カズキ、KING OF SWAGなど地元アーティストが数多く登場し、以下のような生々しい証言を寄せている。

「家族で食卓囲んでメシ食ったことなんてない」
――T-Pablow

「『高校生RAP選手権』がなかったら、今頃は本職になってた」
――YZERR

「深夜にタバコ屋のシャッターをこじ開けて、レジごと盗んだ」
――BAD HOP

「南下すればするほど、中学生のポン中とか、いっぱいいる」
――A-THUG

「競輪場で暴動が起こって、地元の親分が来てやっと収めた」
――友川カズキ

 また、世界的にも評価されている気鋭の女性写真家・細倉真弓が撮り下ろしたセンセーショナルな写真も多数収録されている。

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 とにかく、新書などで見られるような上から目線の若者論、ヤンキー論、郊外論を一蹴する苛烈なルポルタージュなのである。そんな同書を読めば、川崎で前述の事件が立て続いたのは単なる偶然ではないことがわかるはずだし、日本社会のある種の病巣も見えてくるだろう。

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 こうした『ルポ 川崎』は間もなく発売されるわけだが、アマゾンで購入すると、初回限定特典としてBAD HOPを率いる双子、T-PablowとYZERRの写真が載ったポストカードが付いてくる。この写真、本には掲載されていない「アザーカット」なので、2人のファンなら手に入れたいアイテムだ。ただし、数に限りがあるので、お早めに。


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 さらに、川崎の一部の書店(神奈川県・東京都)・レコード店で購入すれば、特製BAD HOPステッカーが付いてくる。キュートなイラストは、東京メトロのCMやNHKの番組『デザインあ』のアニメーションなどを手がけてきた若手イラストレーター・オオクボリュウによるもの。こちらも初回限定の特典なので、なくならないうちにゲットしたいところだ。

 なお、ステッカーは以下の店舗で配布される。


◉丸善ラゾーナ川崎店
◉ブックファーストあおい川崎駅前店
◉ヴィレッジヴァンガード川崎チッタ店
◉紀伊國屋書店イトーヨーカドー川崎店
◉北野書店 本店(鹿島田)
◉住吉書房 武蔵中原店
◉有隣堂 伊勢佐木町本店
◉ジュンク堂書店 立川店
◉ジュンク堂書店 池袋店
◉紀伊國屋書店 新宿本店
◉ブックファースト新宿店
◉山下書店 新宿西口第一店
◉ヴィレッジヴァンガード下北沢店
◉ジュンク堂書店 渋谷
◉ヴィレッジヴァンガード渋谷店
◉大盛堂書店
◉HMV&BOOKS SHIBUYA
◉山下書店 渋谷南口店
◉くまざわ書店蒲田店
◉明正堂アトレ上野店
◉ブックファースト六本木店
◉八重洲ブックセンター 本店
◉ディスクユニオン 他

 このように『ルポ 川崎』は特典にも目が離せないが、同書には掲載されていない写真が多数収められた細倉真弓の『写真集 川崎 KAWASAKI PHOTOGRAPHS』も同時発売される。

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『写真集 川崎 KAWASAKI PHOTOGRAPHS』
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 この写真集には、川崎出身のホラー作家・平山夢明が以下のような解説を寄稿しているので、そちらにも注目してほしい。

「俺は彼処で切り落とされた右腕が夜道に転がっているのを見たし、砂利トラに轢かれた酔っ払いが脳味噌を真夏の灼けたアスファルトに撒き散らすのも見た。 (中略)高架下の廃車、刺青を纏った若者、在日の人々、一癖も二癖もありそうな人物たち、猛々しい面魂のラッパー、ここには俺が好きだった川崎と その先にあるカワサキが紛れもなく存在している」

 『ルポ 川崎』と併せてこの写真集にも目を通せば、川崎という都市の深層がより理解できるはずだ。

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