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佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第97回

リアル書店を出すアマゾンの狙いは新決済システムの導入実験にあり?

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進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

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『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(日経BP社)

――オンラインストアの覇者として世界に君臨するアマゾンが、昨年から実店舗を運営している。実店舗で持てる在庫はオンラインストアをはるかに下回るというのに、いったい何が目的なのか、ユーザーやジャーナリストたちによってさまざまな推測がなされてきた。それがここにきて、思わぬ角度から“正解”らしきものが見出された――。

 昨年秋、アマゾンが本拠地・米シアトルに実店舗「アマゾンブックス」をオープンさせた。

 このリアル店舗が何を意味しているのかは、まだあまりよくわかっていない。店舗の持つ在庫数は数千冊ということで、規模はさほど大きくない。「ウィッシュリストでいま人気の本」「アマゾンで星が○個以上」というようなポップが表示されているところは、アマゾンらしいといえるが。しかしアマゾンはリアル店舗を今後、数百店にまで増やしていく計画を立てているという情報もある。リアル書店の数々を駆逐して市場シェアを広げ、ネットで本を買う行為を定着させてきたオンライン書店のアマゾンが、リアル書店に逆進してきているのはなんだか不思議だ。

 米テック系メディアのリコード(Re/code)は昨年3月に、「アマゾンが新しい小売店について持っているビジョンを、我々は発見したかも」という記事を掲載している。アマゾンが特許を取得している決済システムについて調べた内容で、これが実は非常に興味深い。

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