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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【8】

ライトノベルの栄枯盛衰……マンガのような小説に哀惜を。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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世代的なイデオロギー偏向が目立つ本だったが、自分はいい仕事をしていたな、と改めて思った。

 小説よりもマンガに近い立場の娯楽小説が「ライトノベル」の名を得て、かれこれ15年くらい経ったろうか。その初期に『ライトノベル完全読本』(日経BP)というシリーズに関わっていたのだが、休刊から10年、ジャンルは前回も書いた通りの栄枯盛衰パターンへ入りつつある。

 トップグループの作家たちが複数のシリーズを書き、さらにスピンオフ作品も展開することでトータルの数字は維持しているが、中堅以下と新人が急激に売れなくなってきたのだ。原因は複合的だが、ジャンルのマンネリ化と「なろう旋風」が大きい。後者から説明すると、ウェブ上の小説投稿サイトの台頭だ。ケータイ小説から発展した「魔法のiらんど」は性質上、ライトノベルの受け皿にはならなかったが、ライトノベルとの親和性が高い「小説家になろう」は、橙乃ままれ『ログ・ホライズン』や、佐島勤『魔法科高校の劣等生』など、商業レーベルでもヒットする人気投稿小説を次々と輩出した。結果、出版社は人気投稿小説のスカウト競争へ走り、商業レーベルの新人賞が空洞化してしまった。

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