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連載
哲学者・萱野稔人の"超"哲学入門 第10回

リベラリズムの原理の可能性よりも、その限界について

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(写真/永峰拓也)

『自由論』

ジョン・スチュアート・ミル(斉藤悦則訳)/光文社古典新訳文庫/1060円+税 個人の自由に対する社会の制限、干渉はどこまで許されるのか。市民社会における個人の自由、多様性について根源的に考察し、 その重要性を説く。現代社会に通じる古典的自由主義の原理を学べる普遍的な名著。

『自由論』より引用
「本書の目的は、きわめてシンプルな原理を明示することにある。
社会が個人に干渉する場合、その手段が法律による刑罰という物理的な力であれ、
世論という心理的な圧迫であれ、とにかく強制と統制のかたちでかかわるときに、
そのかかわり方の当否を絶対的に左右するひとつの原理があることを示したい。

 その原理とは、人間が個人としてであれ集団としてであれ、ほかの人間の行動の
自由に干渉するのが正当化されるのは、自衛のためである場合に限られるということである。
文明社会では、相手の意に反する力の行使が正当化されるのは、ほかのひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる。」

 自由、とは私たちの社会におけるもっとも基本的な原理の一つです。「リベラリズム」(自由主義、自由の原理)という言葉をあえてつかうことはないかもしれませんが、たとえば東京一極集中を避けるために東京での居住が政府によって制限されるようなことになれば、多くの人は「どこに住もうが各人の勝手だ」と異議を唱えるでしょう。少子化を防ぐために結婚と出産を義務化する法律ができたら、同じように多くの人は「結婚しようがしまいが、子どもをつくろうがつくらまいが、それは個人の自由だ」と反発するでしょう。それだけ自由の原理は私たちの社会に根を下ろしているということです。他人に迷惑をかけなければ何をするのも個人の自由である――。こうしたリベラリズムの考えが私たちの社会の基本的な原理になっているんですね。

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