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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【21】

実は東大並みの“狭き門”「受刑者」とはいったい誰なのか?

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

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「年版『犯罪白書』発行」
法務省が2013年12月に発行した最新の『犯罪白書』によると、12年中に刑事施設に入所した受刑者の数は2万4780人。うち1万4505人は再入者で、58・5%を占める。罪名別に見ると、刑法犯1万6060人のうち窃盗が最多の8405人、続いて詐欺1908人、傷害1214人。また特別法犯8720人の中では覚せい剤取締法違反が6453人と最多で、道路交通法違反1202人の5倍以上となっている。


 前回、車で人を死傷させても初犯で悪質性が低ければ刑務所に入れられることはまずない、という道路交通法の運用の実態について解説しました。しかし実のところそれは、交通犯罪に限らず、犯罪全般についてもいえることなのです。罪を犯した者は刑務所へ入れられる、という世間の常識とは裏腹に、実際には刑務所になど滅多に入れられることはない。このように、刑務所に関する一般的なイメージと現実とが乖離しているケースは多々あるのです。そこで今回は、そんな“塀の中”の実態を明らかにしつつ、刑務所なる存在の持つ意味や、今後あるべき姿について考えてみましょう。

 全国69の刑務所と8の拘置所に平均約6万人が収容されている受刑者。法務省の『矯正統計年報』のデータを見ると、受刑者にはいくつかの顕著な特徴があることに気づきます。ひとつは、知的障害者の比率が非常に高いこと。この問題は、政策秘書給与の詐取による詐欺罪などで2001年に実刑判決を受け約1年2カ月間服役した山本譲司元衆議院議員の著書『累犯障害者』(新潮社)によって広く知られるところとなりました。最新の12年のデータによれば、一般に知的障害とみなされることの多いIQ70未満の者が受刑者全体に占める割合は21・1%、測定不能の者を含めると24・4%に達します。人口の0・4%程度とされている知的障害者の割合と比して、これは尋常ならざる数字です。

 もうひとつ、学歴の低さも大きな特徴です。受刑者の学歴としては中学卒業・高校未進学が最も多く、全体の40・6%。受刑者全体に占める高齢者の比率が高く、かつては今ほど高等教育が一般的でなかったという事情を差し引いても、高校進学率97%という時代からすれば、やはり驚くべき数字といえます。

 いうまでもなくこれらのデータは、知的障害者や低学歴者が犯罪を引き起こしやすい、ということを示すものでは決してない。むしろ、知的障害者や低学歴者にとって、日本の社会がいかに適応しづらいものであるかを端的に表すものだと捉えるべきです。

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