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【CYZO COLUMN CURATION】西田藍のアイドル的"制服"偏愛論【2】

【アイドル・西田藍】「制服に宿る権威性。ナチスにも似た……」

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――ミスiD2013の文芸アイドルが業深き"制服愛"を語り倒す!

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ディックの名作と私。ドイツ女子同盟の女の子はどんな気持ちで制服を着てたのかな。

 中学時代のある日、セーラー服のスカーフのアイロンを失敗して熱で溶けちゃって、そのまま付けずに登校したら、先生たちにかなり注意された。このスカーフはそんなに重要なものだったの? 不思議だった。

 今現在、学生服を管理の象徴だとか悪しき慣習だと思っている若者は少ないと思う。私もそうだった。けれど、中学時代着ていた福岡市共通の標準服は、学校らしさがない分、なんか余計それを醸し出してるような、気がした。

 無関係だと思っていた第三帝国趣味が、そんな私に制服への別の見方を示してくれた。P・K・ディック『高い城の男』(ハヤカワ文庫)を読んだのが、そのきっかけ。同作は第二次世界大戦で枢軸国が勝利した後の世界が舞台で、ナチスドイツと大日本帝国は冷戦状態。日本人はわりとお人好しに描かれ、極悪非道はナチスの担当。狂気のさなかにある架空の戦後ナチスは、可笑しい。しかし狂気の元は、歴史にある真実。元宣伝大臣のゲッベルスは作中で、こう評される――「ほとんど狂気に近い管理意欲を持っております……彼の根底にある野心は……純粋な手段としての権力」。

 そんなナチスのプロパガンダ最高傑作は制服だと思う。狙いに狙ったそれは、人の意識も変えた。とある市民が憧れの制服に身を包み込んだとき、思想は、服を通じて身体に染み込む。そして、制服を着た新たな親衛隊員たちが、街の一部となり、さらに組織を強化し、人々の信仰心を高め、小さかった組織は拡大を続けていったのだ。制服は、それほどの力を持つのだ! 

 学生服だって似たような効果がある。制服がある学校では、制服は学校の象徴で、権威をつくる要素の一部。生徒の行動や心を規定する重要アイテム。制服によって学生が作られ、その学生達によって、形のない、目に見えない、伝統やら校風やらがさらに肉付けされていく。服装の乱れは心の乱れ、学生らしさの乱れだ。そりゃ管理するはずだ! 実際私は制服着用時、若々しい反抗心を持ちつつ、常に中学生であることを意識してたし。制服は人間を規定するシステム。その恐ろしさにぞくぞくした。市共通の標準服は、学校の象徴ではないけど、あるべき市内中学生の姿を象徴する。役目はそれで十分。あのスカーフだって、大事な象徴!(給食の汁物に入り込む厄介な存在だったけどね! 汚いよ) もしもかっこいい服だったら、私だって喜んで「らしく」振る舞ったかも。靴下は白、靴は白、髪ゴムは紺か黒。膝下厳守。同じ型の服。統一標準服という概念は、全体主義っぽくてそれはそれでカッコいいんじゃない? なんてね。

 だって、統一された集団はやっぱしきれいなんだもん。軍隊の行進をはじめ集団行動やマスゲームを見たときのように、好悪が分かれる美しさだけど。それに、「らしくある」ことの安心感っていうのはやっぱりあって。この話はまた次回。

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西田藍(にしだ・あい)
1991年10月20日、熊本県生まれ。ミドルネームはシャーロット。根暗な青春時代を過ごした後、12年、講談社主催のアイドルオーディション「ミスiD(アイドル)2013」で準グランプリを獲得。圧倒的な読書量と制服愛を武器に、「文芸コスプレアイドル」として絶賛売り出し中。公式ブログ<http://i-charlotteblue.tumblr.com/

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