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第1特集
現代医療が学ぶべき精神疾患治療【2】

禅は精神療法だった? 江戸時代の禅僧・白隠の生み出した治療法とは

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──ここまでは、お寺や神社が精神病患者の受け皿的な機能を果たし歴史を見てきたが、日本における宗教と精神医療の関わりはそれだけにとどまらない。禅の世界も、精神疾患治療と深い関係があったのだ。

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『白隠の丹田呼吸法』(春秋社)

 江戸中期の禅僧・白隠(1685~1768)は、独特の禅画で知られるとともに、諸国を歩いて教化し、臨済宗中興の祖といわれる。その白隠の著作『夜船閑話』(やせんかんな)は、まさに江戸時代の精神疾患と、禅を利用した治療法を紹介している。これには白隠自身が激しい修行で心身に失調をきたした時、どのように回復したかが書かれている。

「歯を食いしばり、両眼をカッと見開き、坐禅し、寝食を忘れて修行に入った。ところがこうしてまだ一カ月もたたないのに、心火は逆上し、肺金は焦枯(しょうこ)する有様であった。(略)そして心は疲れきってしまい、寝ても覚めても種々の幻覚に悩み、腋の下はたえず汗をかき、両眼にはいつも涙がたまる状態となった」

 これについて、医師・村木弘昌氏は「不眠も影響して精神障害が併発したのであろうか。ノイローゼ、うつ病の疑いもある」と分析している(『白隠の丹田呼吸法』春秋社より)。

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