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第1特集
噂の新宗教団体が考える日本の政治&社会問題【1】

新宗教が考える政治と社会とニッポン問題

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 古来より、不安の多い時代にこそ宗教は活発になるといわれる。浄土宗、浄土真宗、日蓮宗などの新しい仏教が生まれた鎌倉時代は、貧困や元寇などの内憂外患に悩まされた時代であり、同じく黒船来襲というパラダイムの転換にさらされた幕末期には、天理教や金光教など、さまざまな新宗教が勢力を拡大している。それを踏まえれば、東日本大震災や格差社会の広がりなど、生活不安の増大が顕著な今日の世相において、宗教がより大きな影響力を持つようになったとしても不思議ではない。

 その中でも、特に注目されるのが新宗教の動向だ。幕末以降に成立した宗教の総称である新宗教は、既成宗教の網の目から漏れた民衆のニーズをすくい取る新しい宗教として信者を増やしてきた。その中には創価学会が公明党を設立させたように、政治経済に深く関わる団体も登場している。

 こうしたことから、新宗教の基本的な考え方を知ることは今日の日本社会を読み解く上では必要なのかもしれない。

 そこで今回の宗教特集では、新宗教の代表的な教団へのアンケート取材や公式資料を元に、【活動概要】【政治】【社会】の各カテゴリについて、各教団の基本的な考えをまとめた(その結果は「安倍政権をも左右する創価学会、他宗教との協力に力を入れる立正佼成会」、「奉仕活動に励む真如苑、日本における古参団体天理教、日中韓の共和を願う統一教会」、「高校野球で名を馳せるPL教団、宗教の弊害を解くひかりの輪」で紹介するが、創価学会、天理教、PL教団は取材拒否ゆえ、各団体の機関誌や教団HPなどから、その考えを編集部で分析)。また、オウム事件で一躍時の人となった上祐史浩氏率いるひかりの輪は、厳密には宗教法人ではないが、一連の事件を踏まえ、「宗教の持つ妄信の弊害を和らげる」という理念から取材に応じてもらい、掲載している。そして公称信者数1000万人を超える幸福の科学は、一度は快諾いただいたものの、諸事情により掲載を見送ることにした。

 さてここからは、日本社会が抱えるそれぞれの問題について、各教団の回答を比較しながら宗教的に論点をまとめてみたい。なお、紙幅の関係により上段部分には掲載されていない回答も、本稿にて引用していることを断っておきたい。

 では、まずは【活動概要】についてみていこう。

布教は受け身に 複数信仰も可

 真如苑のアンケート回答欄に「信徒の方を通してご縁をいただくようになっています」とあったが、信徒の交友範囲内における受動的な新規入信にとどまることを示唆している。

 このように、現在では、それほど積極的な布教活動はなされないのかもしれない。アグレッシブといえば、統一教会が教祖の自叙伝の配布を挙げているくらいだ。かつて、創価学会の折伏大行進と言われる強引な勧誘が問題になる一方、その結果として信徒を大きく増やした時代もあった。だが、今は積極的な布教で反発を誘うよりも、受け身の姿勢で構えるほうが、教団イメージにとってプラスだと考えているのかもしれない。

 信者が複数の宗教団体に加入することについてはどうか。「信仰はご本人の自由な意思によるものだと考えておりますので、信仰を複数持つことについても本人の意志を尊重しております」とする真如苑の回答や、重視していることに「諸宗教対話・協力」を掲げ、「他宗派の葬式をあげることを否定しない」立正佼成会など、複数の宗教を信仰することを許容する教団が目立つ。本来、宗教とは不寛容な性質を持っているはずのものだが、ことにその傾向が強いキリスト教、イスラム教などの一神教の風土に対し、日本は八百万の神の存在を前提とする多神教の風土であり、新宗教においても、複数の宗教を同時に受け入れることに寛容な傾向があることが見て取れる。

 さて次は、いまだ議論が続く政教分離含め、最近の【政治】について各教団の考えをひもといてみたい。

 立正佼成会と真如苑は、特定の政権に対して意見を表明する立場ではないとし、政治に対して言及しない姿勢を示した。これに対し、統一教会は、同じく特定の政党を支持はしないとしながらも、「宗教心の涵養(かんよう)を重んじたり、家族の価値を重視する政治には賛同する」としている。世界的に見ても、保守勢力と支持基盤を同じくする宗教は多く、愛国心を重視する安倍政権は宗教とも相性は悪くないのかもしれない。

 政教分離については、各教団とも、あえて意見を表明しない態度が目立った。このうち、立正佼成会は、「政党設立については、政教分離原則に抵触する部分も出てきますので……」という回答から、政教分離を守る考えであることがうかがえる。政教分離に関連してよく問題になるのが創価学会と公明党の関係であるわけだが、直接の回答ではないものの、公明党は公式HPにおいて、「創価学会と公明党は政党と支持団体の関係であり、各政党を労働組合や各種団体などが支持する関係と同類。政教一致というのは的外れな批判」としている。
 さりとて、政党と支持団体というのがどこまで一体でどこまで別のものなのか、その線引きが曖昧なためやや釈然としない印象は残る。

新たな指針となる新宗教の教義とは?

 最後は【社会】について。東日本大震災をめぐって、ボランティア活動の実施や、義援金の寄付を行ったことをアピールしている団体は多い。弱者救済を求められる宗教団体としては、やはり欠かせない活動だ。

 原発再稼働については、真如苑が「肯定、否定いずれの立場でもない」、統一教会が「それぞれの立場、気持ちがあるため、法人として公式見解を出すという類の設問ではない」と、中立の立場を守る回答。これに対し、立正佼成会は、「単に肯定否定ではない」としながらも、「原発に依存せず、自然と共生・調和できる生き方を考えていかなければならない」と、脱原発依存的な態度を示す。そして、より脱原発を明確に宣言しているのが創価学会で、公式に脱原発依存を表明し、原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討すべきとしている。このあたりは、公明党を通して政治にも影響力を持つ創価学会ならではの明確なアピールだといえるだろう。

 そして、90年代以降の日本に見られる宗教アレルギーについて、統一教会は、オウム真理教の名前をはっきりと挙げて、オウム真理教は宗教とはいえない団体であり、「世間一般に流布される新宗教のイメージがいかなるものであっても、私たちは、私たちの常日頃の活動を通して正しい姿を伝えていく」とした。

 さて、宗教には属さないが、霊や精神世界などに惹かれるスピリチュアルブームが広がりを見せていることについては、以下のような回答が寄せられた。

 真如苑「(略)精神性は求めていきたいと希望する方々が世界的にも少なくないといいます。このようなことは決して消極的なことではないと考えられますし、心の問題について関心を持たれることによって、その本人の人生と周囲の社会がより豊かなものとなっていかれることが大切」

 立正佼成会「私たちはひとつの信仰を持って生活していますが、現代を生きる方々も、(略)人生の生きがいになるような価値観、考え方を求めているといった印象を感じております」

 明確な信仰を持たなくても、スピリチュアルな存在に関心を抱き、心の拠り所にする行為を否定的にはとらえていないことが伺える。現在の新宗教は、決して一般社会から隔絶した特殊な価値観の世界ではなく、今、社会で起こっている流れをむしろ積極的に受け止め、現代に生きる人々の新たな指針になろうとしているのかもしれない。

(構成/里中高志、中城朋大 早稲田企画、編集部)

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