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佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第65回

夢のガジェット「スマートウォッチ」こそ日本メーカーが挑むべき領域だ!?

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進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

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一世を風靡したカシオ・データバンク(左)。タッチスクリーンが取り入れられている。右はBluetooth対応のG-SHOCK。

「腕時計型の電子デバイス」──想像するだけで一部のSFファンがうっとりしそうなガジェットが、次なるコンピュータ市場の台風の目になるかもしれない。そしてこの憧れのガジェット市場にこそ、低迷する日本メーカーの起死回生のチャンスが秘められている──!?

腕時計型の電子デバイス「スマートウォッチ」が盛り上がってきている。サムスンが「GALAXY Gear」を発表。アップルは「iWatch」という商品名を商標登録し、来年にも独自のスマートウォッチを発売するのでは、と言われている。グーグルも、この分野の関連企業を買収するなど参入の機会をうかがっている。

 しかし本来、こういう小型の電子デバイスは日本の家電メーカーのお家芸だったはずだ。日系企業は何をしているんだろう?

 8月27日のニューヨークタイムズ紙で、東京支局の田淵広子記者が「スマートウォッチがやってくる中で、その市場にすでに取り組んでいたビッグネーム」という記事を書き、カシオ計算機の樫尾和雄社長(84歳)にインタビューしている。樫尾社長のコメントはこうだ。「突然、みんなが手首を発見している」。しかし「われわれはこの分野が最高の不動産物件であることはずいぶん前からわかっていたから、準備はしてある」

 カシオはスマートウォッチ市場では、昨年スマホの独自アプリと連携できるBluetooth対応のG-SHOCKを発売している。ニューヨークタイムズの記事によれば、カシオはこの分野で自社に2つの利点があると考えているようだ。

 ひとつは、腕時計としての堅牢性。ポケットやカバンに入れて持ち歩くスマホと異なり、腕に装着するデバイスは壁にぶつけたり、水に濡れたりと、通常の電子デバイスとは異なるタフな状況に置かれている。こういう技術はIT企業はあまり持っておらず、腕時計専業メーカーの得意技といえるかもしれない。実際、G-SHOCKは落下や耐衝撃テストなどが繰り返され、スマホとは次元の異なる堅牢性を誇っている。

 2つ目に、バッテリーの持ち時間。スマホがせいぜい数日しか持たないのに対し、通常の腕時計は2年ぐらいは電池交換なしに動く。カシオはBluetooth版G-SHOCKの商品説明にこう記している。「Bluetooth v4.0の省電力近距離無線技術を採用することで、多機能ながら、コイン型電池1個で約2年の電池寿命を実現。日常的な使用における高い実用性を追求。(通信機能を1日に12時間使用した場合の電池寿命)」

 ただ堅牢性やバッテリーの持ち時間は、必要条件かもしれないけれど、買い手にインパクトを与え、消費意欲をそそるような十分条件ではない。市場が立ち上がるための十分条件として、何らかの「キラーアプリ」が必要ということだ。

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