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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【9】

性犯罪における“変態度”と 実際の罪状との著しい乖離

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の”意図”──。

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「小林薫の死刑執行」
04年11月、奈良市で帰宅途中の小1女児が誘拐、殺害された。メディアはその犯行内容を大きく報道、12月末、奈良県警が毎日新聞販売店元店員の小林薫(当時36歳)を逮捕。公判では被告人自らが死刑を望む供述が読み上げられ、06年に求刑通り死刑判決が下された。弁護側が控訴するも、被告人が控訴を取り下げ死刑が確定。13年2月に刑が執行された。

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『性犯罪の行動科学』(北大路書房)

 2004年に世を騒がせた奈良小1女児誘拐殺人事件。13年2月、犯人の小林薫死刑囚の死刑が執行されました。事件当時、メディアはそのむごたらしい犯行の内容(殺害後の被害女児の歯を抜く、遺体の写真を被害者の母親に携帯メールで送りつけるなど)や、犯人に幼児への強制わいせつの前科があったことなどを大々的に報じました。そして、「性犯罪は再犯率が高い」などといったイメージによって性犯罪者への風当たりがいっそう強まった結果、06年に性犯罪の再犯防止策の一環として「性犯罪者処遇プログラム」が導入されることとなります。

 ところで読者諸氏は、そのように世間の口の端にのぼる機会だけは多い性犯罪、あるいは性犯罪者というものの内情をどの程度ご存じでしょうか? というのも、性犯罪における罪状の軽重と、犯行そのものの異常度(一般的な性的嗜好からの逸脱度)や再犯の可能性の高低はいちじるしく乖離しているケースが多々あって、にもかかわらずそうした内実は統計上のデータには表れず、メディアでもほとんど報じられないからです。今回は、そのような性犯罪および性犯罪者の実態に迫ってみたいと思います。

 まず、奈良小1女児誘拐殺人事件を例にとってみましょう。性犯罪に絞ると、小林の罪状は強制わいせつということになります。ここで、性犯罪の中で最も重い罪である強姦と、強制わいせつとの違いをはっきりさせておきましょう。強姦は、刑法第17 7条で次のように規定されています。

「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする」

 これに対して強制わいせつは、刑法第176条で 「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」と定められています。

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