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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第65回

黒人の人権派が大激怒!? 奴隷制犠牲者の復讐劇

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『ジャンゴ 繋がれざる者』

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元歯科医の賞金稼ぎキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に助けられた奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)に買われた妻を取り戻すため、賞金稼ぎとして白人を殺しまくる。

監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオほか 日本では3月1日より全国公開予定。


 クエンティン・タランティーノ監督の新作映画『ジャンゴ 繋がれざる者』は、南北戦争前の南部を舞台に、黒人奴隷のジャンゴがガンマンとなって、残酷な奴隷所有者キャンディと対決する「西部劇」ならぬ「南部劇」だ。

 これはタランティーノが愛してやまない映画『マンディンゴ』からヒントを得ている。『マンディンゴ』は、白人が黒人奴隷の女性に産ませた自分の子どもを奴隷として売って商売する奴隷牧場の実態を暴いている。奴隷所有者は気まぐれに奴隷を殺すが、なんの罪にもならない。黒人は人間と思われていなかったからだ!

『マンディンゴ』は100年以上になるハリウッドの歴史のなかで唯一、奴隷制の実態を描いた映画だ。それ以外に奴隷が登場する映画は、残酷な実態を砂糖で甘くくるんだ『風と共に去りぬ』のようなものばかりだった。しかし、アメリカ人の見たくないものを突きつけた『マンディンゴ』は巨匠リチャード・フライシャー監督作にもかかわらずマスコミから「ゲテモノ映画」と総攻撃され、映画会社もフィルムを処分。DVDも最近まで発売されなかった、まさに「呪われた映画」だった。

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