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第1特集
特別対談 原子力を求めたフクシマの悲劇【2】

「原子力モナカ」「回転すしアトム」......原発と共存した地方の"中毒症状" とは?

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――ここでは、対談内では紹介しきれなかった、開沼氏の興味深い論考である、原発をめぐる「地方と中央の服従関係」について、もう少し聞いてみよう。

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上から大熊町の「原子力モナカ」。富岡町の国道沿いにある「回転すしアトム」。柏崎刈羽原発がある新潟県刈羽村には「原子力つけめん」も。(開沼氏提供)

──大量の雇用確保と地域開発の有効策として原発を誘致した双葉町などの地域、そうした地方は、中央(国)とaddictional(依存的)な関係になってしまうと指摘されています。addictionalな関係とは具体的にどんな関係ですか?

開沼  地方側が中毒的に原発を欲していく状態です。経済的にいえば、原発を1基造ると、最初は税金や補助金がかなり入ってきて、雇用も経済活動も活発になる。しかし、電力会社から入る固定資産税は年々減るし、財政も厳しくなる。減収を埋め合わせるため、さらに原発関連施設を造ろうとなる。また、文化的にもaddictionalになる。たとえば、駅で「原子力モナカ」が売られていたり、国道沿いに「回転すしアトム」という寿司屋があったり。東京の人から見れば特異かもしれませんが、地元ではなんの違和感もない。それだけ原発と共存しているのです。

──どれぐらいの人が、原発から経済的恩恵を得ているのですか?

開沼 原発のある4町(双葉、大熊、楢葉、富岡)の人口の3分の1~4分の1は、原発関連で生計を立てていると思います。その家の人が原発関連で働いていなくても、親戚付き合いや隣付き合いはあるので、なんらかのステークホルダーになってしまう。そう簡単に「原発は危ないから嫌だ」と言える状況ではないんです。原発関連で働くといっても、白い服を着てマスクをつけている人だけではなくて、ガードマンの仕事や瓦礫をトラックで運び出す仕事、仕出し弁当を作る仕事もある。原発従業者向けの保険外交員の仕事もあります。

──そうした中で"東電信仰"が生まれるのでしょうか?

開沼 自著の中では「信心」と呼びましたが、あります。2000年代初めに東電で原発事故やその隠蔽事件がありましたが、ある町長さんは「東電を信じて共に歩んでいくことが、私たちにとっていいこと」と発言している。地元の人も「東電が大丈夫と言うなら大丈夫でしょう」と言う。

──もし原発がなかったら、福島はどうなっていたと思いますか?

開沼  財政的には、明らかに悪くなっていたでしょう。東北でも山形や秋田、岩手は、原発がなくてもやっていけている。ただ、やはり原発なき福島は想像しにくいですね。戦前から福島は東京から程よい位置にあった。明治の初期から水力発電で東京の蒲田まで電気を送ったり、戦中は、石川町でウラン鉱石を採って、日本でも原爆を作るという努力をした。戦後すぐには、只見川電源開発を行ったり、いわき市では映画『フラガール』でも有名になったように石炭を採って、東京の成長を助けていた。常に東京の成長をサポートする役割を、日本の近代化の中で福島は担わされてきたんです。

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