サイゾーpremium  > 特集  > アイスランドからマクドナルドが消えた!?...

──果たして実際に日本がどうなるのか? を探る前に、ここではこれまでに国家の財政が破綻、もしくはその危機にあった国や自治体の事例を紹介する。

身の丈に合わない借金にご用心!

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ギリシャ

[原因]
 2001年にユーロに加入したギリシャ政府は、これにより国債の格付けが上昇。低金利の借金による経済成長戦略を掲げていた。その成果として、年4%余りという高い経済成長を実現した。しかし、そんな成長の陰で、借金を増やし続け、その規模はGDP比7.7%にまで蓄積。07年の世界金融危機、08年のリーマンショックによる不況で、収入が急落。さらに09年に行われた政権交代で、前政権下での"粉飾決済"も発覚。09年の赤字見通しが3.7%から12.5%へと一気に修正される事態となり、ユーロ圏を中心に同国の国債格付けが急速に引き下げられ、債務不履行の不安から国債が暴落した。

[結果]
 そもそもギリシャには異常ともいえるほど多くの公務員がおり、人口1100万人に対して約10%という膨大な数に上る。就労人口から考えれば3割程度が公務員、さらに、その賃金も民間企業よりも高水準に設定されており、まさに"役人天国"と呼ぶにふさわしい状態だ。また、高齢化が進んでいるのに、年金受給の開始年齢が58歳に設定されており、高齢者が日本では考えられないほどに手厚く保護されている。10年1月より政府は財政赤字の軽減のため、タバコ・アルコール税の20%増税や公務員賞与減額、年金支給額の減額などによる300億ユーロの赤字削減策を発表したのだが、国民の不満が大爆発。10年12月には大規模な暴動が発生し、死傷者が出るまでの騒ぎとなっている。

金融緩和政策は、諸刃の剣!

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韓国

[原因]
 1993年に就任した金泳三大統領が推し進めた金融自由化政策により、国内外の企業が過剰投資を続けた韓国経済。しかし97年、タイ通貨バーツの暴落に端を発した通貨危機がアジアを襲うと、韓国はその影響を真正面から受け止めることとなる。このあおりを受け、韓国の大手自動車企業であった「起亜自動車」が倒産すると、外国企業が一斉に資本を引き揚げ、ウォンは半値近くまで急落した。あまりの急激な外貨流出によって、外貨準備(為替相場の急変動を防ぐための準備金)が底をつき、国債がデフォルト一歩手前の状態にまで追いつめられた。

[結果]
 経済危機から回復するため、次に大統領に就任した金大中政権では、IMFからの指導もあり、それまでの韓国経済を牽引してきた財閥の解体、外貨流出阻止などの動きに乗り出した。その徹底ぶりはほかに類を見ないほどで、エネルギー輸入を減少させるために、零下5度でも暖房をつけられないほどだったという。また国民が持っている宝飾品などを国に寄付する「金集め運動」も発生。この運動によって20億ドルが集まり、経済危機回避の一助となった。その成果もあって、98年から大幅経常黒字に回復。消費も回復し、IMFから受けた融資も前倒しで完済した。

虚業に頼りすぎた最悪の顛末!

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アイスランド

[原因]
 人口が30万人程度しかおらず、80年代までは漁業などの第一次産業や温泉を中心とした観光業が主な産業だったアイスランド。しかし、90年代に産業転換を図り、再生可能エネルギーや金融による国づくりを目指していた。その方針から金融自由化を推し進めた結果、外貨の流入に成功し、国民ひとり当たりのGDPは世界5位という高水準にまで上り詰めた。しかし07年に起こった世界金融危機により、状況は一転。アイスランド通貨クローナは大暴落し、銀行の国有化にまで発展した。また、大手銀行であるカウプシング銀行が発行していた、「サムライ債」と呼ばれる円建て債券780億円は、デフォルトとなった。

[結果]
 金融業がメインの産業となっていたため、その他産業に従事する人口が少なく、多くの製品・食料品を輸入によって賄っていた。しかし、通貨の暴落によって、輸入品価格が急上昇し、食品や日用品、ガソリンなどの価格が高騰。国民生活にも支障を来す状態となった。その象徴として、マクドナルドが原材料輸入費の値上がりを理由に異例ともいえる撤退を決定したことは、大きなニュースとなって世界中に報道された。また、この事態を引き起こした金融業界に対しても、国民の不満が向けられている。金融危機以前は同業界に入ることがステイタスとなっており、大学を卒業した多くの若者が就職していたが、それも今は昔のこととなっているようだ。

財政破綻するのは国だけじゃない!

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【番外編】 北海道夕張市

[原因]
明治時代から炭鉱の街として栄え、夕張メロンや映画『幸福の黄色いハンカチ』などでも有名になった北海道夕張市。しかし、昭和期の炭坑閉鎖による産業構造の変化を迫られた夕張市は、80年代から第3セクターによるレジャー施設の整備を進めてきた。時代は折しもバブル経済真っただ中、観光・レジャーによる街づくりは高く評価され、90年には「活力ある街づくり優良地方公共団体」として表彰される。しかし、バブルがはじけるとその勢いも急減速。民間のスキー場やホテルなどの観光産業の撤退を防ぐため、第3セクターが買収を進めたが、負債総額は600億円以上にまで拡大し、赤字比率は20%を超えた。

[結果]
 財政難で行政サービスがままならなくなってしまったため、レジャー施設はおろか、学校の閉校、病院など医療サービス縮小、市職員の半減などで赤字処理を行っている夕張市。しかし、サービスの低下で人口流出には歯止めがかからず、企業も夕張から離れてしまい、住民税や固定資産税などの収入は下がり続ける一方だ。また、高齢化が進む同市では、雪下ろしもままならないなど、いまだ通常通りとはいえない市民生活を余儀なくされている。しかし、税率の引き上げやゴミ処理有料化といった厳しい再建策実施の成果で、財政再建団体に指定されてわずか3年で30億円の借金を解消。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」などのイベントや、生活の全般を市民の手で実行するという気風も生まれつつある。

(文/成松哲)
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