サイゾーpremium  > 特集  > 「世界的なアーティスト」は張り子の虎!?...

──マンガやアニメなどオタク文化を引用した現代美術家の村上隆。"世界的にも有名"とはよく耳にするが、そうした言説は果たして正しいのか?美術評論家・暮沢剛巳氏と建築探検家・坂口恭平氏の対談により、あるいは葬られた"90年代"という過去を掘り返すことで、村上隆の素性を暴く!

1011_murakami1.jpg
村上隆氏の『芸術起業論』。

 先月始まったパリ・ベルサイユ宮殿での個展が、「歴史遺産への冒涜」とフランス極右系団体からドヤされ、自身のツイッターも炎上するなど物議を醸した現代美術作家・村上隆。90年代初期のデビュー以来、種々混交のコンセプトをブチ上げてはメディアを賑わせたが、オタク的なフィギュアやキャラクターなどのモチーフの中に、日本の職人的伝統技術を封じ込めて、日本の消費社会の空虚さを表現する独自の概念「スーパーフラット」を2000年代に提唱。日本美術史に名を刻むとともに意固地なオタクからは「オレたちを搾取するな」と過剰反応が起こった。有名な六本木ヒルズのロクロク星人もルイ・ヴィトンの花柄バッグも、この人の仕業だ。

 並行して「アートの総合商社」カイカイキキを自ら立ち上げ、独自に作品制作と販売を展開。サブプライム問題で下火になる前のアート・バブルに支えられたオークション会場では作品が億単位で落札され、一昨年の米「TIME」誌では「世界で最も影響力がある100人」にも選ばれるなど、"世界的に有名"とされる日本人になった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2024年5月号

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ